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女性へのあけすけな想い〜奥野信太郎さんの『女妖啼笑- はるかな女たち』

奥野信太郎さんの本を少し前に東京中目黒のCOWBOOKSさんで続けて手にいれて読んだのですが、とってもよかったです。

奥野さんの本をすでに1冊持っていると思っていたのは勘違いでしたが、先ごろふたたびCOWBOOKSさんを訪れたときに、別の奥野信太郎さんの本があったので見ていると、店長さんから『女妖啼笑 - はるかな女たち』がいいとの話しをを聞いたので、手にいれて読んでみました。

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奥野さんが、赤坂見付から麹町に至る坂の途中の麹町4丁目の家に住んでいた頃の女中さんの思い出から始まり、女性に目覚めた頃の淡い思い出、女性への憧れ、遊びにほうけた遍歴?について語られています。

奥野信太郎さんの『かじけ猫』の中に出てくる、窓から覗いてみていて淡い恋ごころをいだいていた「おさよ」という女学生のこともまたでてきます。

あまりの女遊びへの惚けぶりに、与謝野晶子さんに見咎められたという話しもでてきます。

ぼくが羽目をはずして紀元と遊び歩いていることを一番心配したのは与謝野晶子夫人であった。ある日ぼくはたいへんにひどく叱られた。晶子夫人はふだんは心のやさしい、稀にみる思いやりのあるひとであった。(中略) そのおおらかさが相対するものにいつも温かなものを感じさせるのであった。その晶子夫人が、きわめて短いことばで、ぼくの放埒を咎めたときの、あの鋭い眼ざしはいまでも忘れることができない。なんと答えたかおぼえていないが、おそらくしどろもどろであったことはまちがいないであろう。
[奥野信太郎、『女妖啼笑- はるかな女たち』より]

与謝野晶子さんが、麹町中六番町、いまの四番町に住んでいた頃の話しかと思います。


ここまであけすけに語る奥野さん。歳を重ねて達観したからなのかもしれませんが、こんなにも個人的にいだく女性への気持ちを書いた本はあまり読んだことないかもしれません。奥野さんが大学の先生していたというということも驚きます。
自身の遍歴について書かれた本は、美川徳之助さんの『愉しわがパリ ー モンマルトル夜話』、池田満寿夫さんの『エロチックな旅』くらいしか思い浮かびません。


奥野信太郎さんの本の魅力〜『町恋の記』と『かじけ猫』
2019年8月18日の日記



by momokororos | 2019-10-29 22:07 | | Trackback(85) | Comments(0)

グレタさんの活動とわたしの興味〜『グレタ たったひとりのストライキ』

マレーナ&ベアタ・エルンマンさんとグレタ&スヴァンテ・トゥーンベリさんの『グレタ たったひとりのストライキ』。

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グレタさんのお母さんが語る、家族とグレタさんのこと、そして気象変動に対する活動について綴られています。
ここ最近メディアにも報道されるようになったグレタさんの発言。

彼女がアスペルガーだということを初めて知りました。そしてアスペルガーだからこそこだわりできたこと。この本にもかかれていることですが、「自閉症やアスペルガーには、典型的なイメージがない」ので、知識はあっても現実ではどう対応していいかむずかしく感じます。

最近の地球温暖化による異常気象にはいのちの危険もあるほどすさまじいものがありますが、グレタさんは警告と行動を起こしています。

自分たちの生活を諦めてたりリスクにさらすよりも、今後の世代の生存条件を破壊するほうを選んでおり、技術的が解決してくれるということ対する幻想よりも、政策転換するほうが有効であり、これはまずいと思っていても技術が解決するといって、いまのCO2排出を削減しない企業もあるということを指摘しています。

子どもの意見を聞いてもらえないので、科学者の意見を聞いて、と言っているグレタさん。
本当の危機がわかれば習慣や態度も変えることができるのでは、ということも言っています。
生物多様性の世界では昔からあるカーボンオフセットという考え方があって、日常生活や経済化活動で避けられないCO2などの温室ガスの排出量に見合った温室ガスの削除活動、たとえば植林や森林保護、クリーンエネルギーなどに投資するという考え方なのですが、これに対してもグレタさんは否定します。
「飛行機に乗ることは、航空会社に対して″そのまま経営を続けなさい″という明確なメッセージを送るのと同じです。」と。

なるほどと思う考え方がたくさん、もともと生物多様性で語られるいろいろなストーリーには関心させられて、いっとき環境の仕事をやりたいな、と思ったこともあるほどなのですが、グレタさんの考え方には感動させられます。

子どもたちの話しは聞いてもらえない、と言いながら科学者の知識をしっかり持ち、説得力ある発言を感じます。ただし、そんなグレタさんには批判や、誹謗中傷も多いと聞いています。



むかし、わたしは生態学に興味を持っていて、そのたぐいの学科があった大学を受けたが受からず、新たな知に出会い魅了されて別な道にすすみましたが、生態学はその後も自分の中でときおり興味が再燃します。9、10年前の生物多様性の国際会議が日本で開催されていたときに、いろんな本や文献を読み、なんて面白い考え方をするのだろうと、いっとき没頭したことがありました。

むかし読んでいた生態学や生物多様性の本と、アスペルガーの本をひっぱりだして、久しぶりに再読してみようと思っています。

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by momokororos | 2019-10-25 22:23 | | Trackback(60) | Comments(0)

ジェンダーという視点を通してみたときの世の中〜ジェンダーの本いろいろ

ここしばらく、ジェンダーの本をいろいろ読んでいました。

読んだジェンダーの本です。

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右から6冊はもともと持っていた本で、あとは今年の7月以降に手にいれた、もしくは借りたジェンダーの本です。

3月頃に、山内マリコさんの『あたしたちよくやってる』の中に「女の子らしさとは?」の話題が載っていて、その本の中に「LikeAGirl」という映像が紹介されていて考えさせられたことがまずきっかけとなりました。

その後、7月の終わりに大阪水無瀬の長谷川書店さんで、松田青子さんの『じゃじゃ馬にさせてといて』を見つけ、同じ日に神戸元町の1003さんで、北村紗衣さんの『お砂糖とスパイスと、爆発的な何か』を見つけて読んだことで、これまでにない映画や社会の見方がに興味をもちました。
さらに、情熱大陸のテレビで上野千鶴子さんを見て、わたしがいだいていた上野さんのイメージとは大きく違うことにびっくりしました。

それから、いままで気づかなったジェンダーの本が目につくようになり、教えてもらったり、参考文献を孫引きすることで、ますますジェンダーの本に触れる機会が多くなってきました。これまで自分が考えてこなかった見方や考え方に触れて、カルチャーショックに近い気持ちを覚えました。

ジェンダーの本は、普通の図書館や、町の大きな本屋さん、例えば神田神保町の三省堂さんや東京堂さんなどには、そこそこあるって感じです。
東京下北沢のほん吉さんは200冊くらいはあるでしょうか。神戸元町の1003さんも最近充実してきています。
本屋さんよりもジェンダー関係の本が充実しているのは、各地にある女性支援センターかなと思います。あまりに本が多いのに圧倒され、見たことのない本の並びにとりかかりがなくてとまどってしまいます。



相手の嫌がっていることをキャッチできない鈍感さ〜上野千鶴子さん
2019年8月31日の日記

バーレスクのこと〜北村紗衣さんの『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』
2019年8月10日の日記
映画の中の女性たち〜松田青子さんの『じゃじゃ馬にさせといて』
2019年7月30日の日記

LikeAGirl〜女の子らしさとは
2019年4月13日の日記

うなずかされる気持ち〜山内マリコさんの『あたしたちよくやってる』
2019年3月24日の日記



by momokororos | 2019-10-24 22:21 | | Trackback | Comments(0)

こぢんまりした図書室、それでもすごい〜東京田町の女性就労支援センター

この前、姫路を訪れたときに、姫路のイーグレ姫路の中の姫路市男女共同参画センターを訪れてから、東京の田町にある「女性と仕事の未来館」を久ぶりに訪れようと思って、先日出かけてみました。

施設の名称は「女性就労支援センター」に変わっており、建物の1階がハローワークで、むかしの記憶とは大きく異なり勝手がわからず、隣りのビルに入ったりと右往左往してしまいました。行ったことがあるということで詳しくは調べてこなかったのですが、ネットであらてめて調べてみました。
むかしと同じ建物の4階でしたが、玄関や建物の中に女性就労支援センターの案内はまったくなくて、これはたどりつけないなと思いました。エレベーターを4階で降りると、ホールのロビーみたいなところで場違いな感じが否めません。ここでも案内表示がなくガランとした感じで、いていいのかわからない感じでしたが、奥の通路を覗いてみると看板を見つけ、その一室が女性就労センターでした。

かつて女性と仕事の未来館だったときには、図書館並みの規模で、障碍者からユニバーサルデザインや社会、教育、ジェンダーなどの本があって、ときどき訪れて知識を高めていたのですが、女性就労支援センターはスペースも蔵書もかなり縮小されていてちょっとがっかりでした。
障碍者やユニバーサルデザイン関係の本はなくなっており、ジェンダーや働き方関係、女性史、労働問題の本や、雑誌、政府刊行物、学会誌、各種活動報告などがあります。
しばらく見たあとに、センターの職員に聞いてみたら、事業仕分けで縮小して昔あった本は大幅廃棄とのことでした。それでも全体で5000冊くらいはあり、そのうちジェンダーの本は1000冊くらいかなと思いましたが、聞いてみると雑誌やリーフレットを含めるともっとあるそうです。ジェンダーの本はすべて残ったのですか?と聞いてみたのですが、ジェンダーの本も大幅に廃棄したとのことでした。他の図書館などに譲ったのですか?と聞いてみたのですがやはり廃棄との回答。あんなに充実していた施設だったのにもったいないと思いましたが、施設自体があまり使われていなかったのかもしれません。

そういえば、大阪の万博公園にあった大阪府立の図書館は絵本がものすごく充実していたのですが、施設が移設になり大幅に本が減ってしまいました。わたしは移設したあとの図書館にしか行ったことがないのですが、なんともこちも残念な思いにとらわれた思い出があります。

女性就労支援センターでは、また新しい本も徐々に買っているみたいですが、一度捨てた本は買えないと話していました。当たり前のような気もしますが、きびしいです。
かつて居心地のよかったたくさんあった机も、カウンターの真ん前の4人がけの2席になっていて、あまり居心地のいい感じではなかったのですが、その1席に座り、いろいろな本を引っ張りだしてきて読んでいました。
何時間もいたのですが、わたし以外は誰も来ませんでした。本の中身については職員の人とは話さなったのですが、職員と知りあいになってしまえば居やすい場所かもしれません。

それでも何千冊かの蔵書はわたしにとっては余りあるもので、地元の図書館ではほとんどないジェンダーの本があり、何時間もいながらも目を通すことができたのはごくわずかでした。

・『資生堂インパクト』石塚由紀夫
・『わたしの身体、わたしの言葉』江種満子
・『仕事と家庭は両立できない』アン=マリー・スローター
・『だから男と女はすれ違う』奥村康一、水野重理、高間大介
・『自分らしく生きるには こんな絵本に出会いたい』木村民子

返すのが面倒かなと迷ったのですが、上記5冊の本のうち3冊を借りました。

『だから男と女はすれ違う』。

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ずっと前ですが、アラン・ピーズさんとバーバラ・ピーズさんの『話を聞かない男、地図の読めない』という本を読んだことがあるのですが、『だから男と女はすれ違う』に男性は方角の指示を得意とし女性は目印の指示を得意として、それは狩猟時代の男女の役割の能力を受け継いでいるということや、夫婦喧嘩で男性が無視という態度にでることがあり、それは心拍数が100を超えていて理性的な判断ができなくなっているのだが、狩猟時代の戦闘モードをおさえるための態度である、などが書いてあり面白かったです。


『こんな絵本に出会いたい』。

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ジェンダーや働き方、差別のなどのテーマの絵本を紹介したものですが、絵本が好きなのですが読んだことがない絵本がたくさんでした。1冊目として紹介されているのが、デルモア・シュワルツさんの文とバーバラ・クーニさんの『ちいちゃな女の子のうた わたしは生きているさくらんぼ』。持っている絵本なのであらためて読んでみました。

『こんな絵本に出会いたい』には、『ちいちゃな女の子のうた わたしは生きているさくらんぼ』についてこんな解説が載っています。

「わたしは いつも わたしでしょう」
「わたしはいつも あたらしくなるのよ」
 この女の子は、女の子であることになんの屈託もありません。素直に自然に自分を肯定しています。「いつでもあたらしいなにかになれる」という歌うとき、女の子には輝かしい未来が待ち受けています。
[木村民子、『自分らしく生きるには こんな絵本に出会いたい』より]

前にみた動画を思いだします。

LikeAGirl〜女の子らしさとは
2019年4月13日の日記
https://momokoros.exblog.jp/28194106/

バーバラ・クーニーさんの絵本はたくさん持っているのですが最近ご無沙汰で、また読んでみたいと思います。


『仕事と家庭は両立できない?』。

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まだ読みきれていませんが、女性に対するステレオタイプだけではなく、家庭での男性に対するステレオタイプにも言及されていたり、育児や介護などを抱える職場での働き方にも言及されていて興味深い本でした。


女性就労支援センターのはいっている建物の2階に(かつは図書室は2階だった)、とっても美味しい和食屋さんがむかし入っていたのですが、なくなっていてこちらも残念でした。結局その日は、読むのに夢中になっていたせいかお昼は食べずじまいでした。


関西寄り道小道〜姫路の図書室と本屋さん




by momokororos | 2019-10-04 22:43 | | Trackback(27) | Comments(0)

見つけたアングランドさんの絵本

神戸。

神戸の中山手通りのカフェのtoiroさんでゆっくりとお茶をしたことは日記に書いていますが、そのあとに鯉川筋のファビュラスオールドブックさんへ。

久しぶりだったのですが、話してみると今年になってはじめてだったことがわかりました。

いい絵本を紹介してもらったのですが、少し値段が高くて手にいれるのを保留にしました。新しい版が出版されている絵本なので、ぜひ比べてみたいものです。


お店では、アングランドさんの本を手にいれました。




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ファビュラスさんは、奥まったところに絵本作家さんで分けられた本棚があるのですが、アングランドさんやロザリンド・ウェルチャーさんは、レジ近くの別場所にあります。店長さんが特に好きな作家さんだからかなと思います。


持っているアングランドさんの絵本
2019年8月24日の日記



by momokororos | 2019-10-03 22:41 | 絵本 | Trackback | Comments(0)

やさしい思い〜大宮エリーさんの『思いを伝えるということ』

本屋さんで本を選ぶときにパラパラとめくっただけなのですが、これは好きな本だってわかることが多いです。先日訪れた神戸元町のハニカムブックスさんでは出会った本にそんな1冊があります。


今回の関西の旅で手にいれた本を、神戸尼崎の雑貨のdent-de-lionさんから送ってもらったのですが、「送る前に好きな本を読んでいいですよ」と伝えていたのですが、1つの本が素敵でした、ということを聞いていて、届いてから読むのを楽しみにしていました。


その本は、
大宮エリーさんの『思いを伝えるということ』。



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感じる「思い」をいくつかの散文詩にしたためており、その詩に対応する形でそれぞれの物語を載せています。

言葉はココロを見る物差しとなることもあるけど、ときに言葉がわからなくなるなることもあります。ココロにモノとしての形があれば、ココロが見えるし、自分も相手も気にかかる存在になる。ドアだったり、メッセージボトルだったり、電話ボックスだったり。
人が言葉を放つきっかけとなるモノとココロのかけはしを描いています。

生き方のハウツーではなく、言葉をつむぎだすことで起きる可能性について、素直に希望をこめて書かれています。


こんな詩がのっています。



また明日ね


夕日を見ると
悔い改める自分がいる
美しい大きな太陽が

海に沈んでゆく
大地に沈んでゆく
今日も一日ありがとう

せこせこと私たちは
かっこわるく生きているのに
太陽さん
どうしてあなたはそんなにも
変わらずに美しく
今日も力強い光を放ち
沈んでいくのですか

私たちがぎゃーぎゃーと
色々考えたり
悩んだりしていたときに
あなたはそれでも変わらず
強い光を放って
世界を照らしていたんですね
思えば今日一日ずっと

ちゃんとそれに
感謝できていなかった午後
お昼休みに渡った歩道橋
あなたのあたたかさと
おおらかさを
感じていたはずなのに
きちんとあなたの存在に
感謝せずに
一日を過ごしてしまいました
ごめんなさい

これを当たり前だと思ったら
人間はダメになっちゃう
毎日あなたが顔を出し
そしていつものように
帰ってゆく
これをいつまでも
あなたが変わらずに
繰り返してくれていることに
感謝します

いつか人間の大きな過ちで
二度とあなたが
顔を出さす世界が暗黒のままに
なったとしても
それは私たちの責任
あなたの責任ではない

そうならないように
今日もあなたに感謝をします
これが当たり前だと思ったら
ダメになっちゃう
取り返しがつかなくなっちゃう

一日の終わりに
真っ赤なあなたが
静かに静かに
沈んでゆくのを見ると
そのあまりの美しさに感動して
胸がいっぱいになるのです

また明日 会えますか

[大宮エリー、『思いを伝えるということ』より]


当たり前なことは、簡単にできるように見えながら、実は裏で支えられていることが大きく、意識的にならないとそれを忘れがちです。当たり前なことがなくなってから気づくとこが多いかもしれません。いまの地球環境がまさにその問題に直面しているといえます。


まどみちおさんの「どうしていつも」の詩を思いだしました。


どうしていつも


太陽



そして


虹(にじ)
やまびこ

ああ 一ばん ふるいものばかりが
どうして いつも こんなに
一ばん あたらしいのだろう

[まどみちお、『とおいところ』より]


その昔、京都二条の雨林舎さんの壁に、この「どうしていつも」の詩が書かれていました。ずっとずっと訪れていないけど、まだお店はあるのかなと思います。





by momokororos | 2019-10-02 22:36 | | Trackback | Comments(2)