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2019年 10月 29日 ( 1 )

女性へのあけすけな想い〜奥野信太郎さんの『女妖啼笑- はるかな女たち』

奥野信太郎さんの本を少し前に東京中目黒のCOWBOOKSさんで続けて手にいれて読んだのですが、とってもよかったです。

奥野さんの本をすでに1冊持っていると思っていたのは勘違いでしたが、先ごろふたたびCOWBOOKSさんを訪れたときに、別の奥野信太郎さんの本があったので見ていると、店長さんから『女妖啼笑 - はるかな女たち』がいいとの話しをを聞いたので、手にいれて読んでみました。

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奥野さんが、赤坂見付から麹町に至る坂の途中の麹町4丁目の家に住んでいた頃の女中さんの思い出から始まり、女性に目覚めた頃の淡い思い出、女性への憧れ、遊びにほうけた遍歴?について語られています。

奥野信太郎さんの『かじけ猫』の中に出てくる、窓から覗いてみていて淡い恋ごころをいだいていた「おさよ」という女学生のこともまたでてきます。

あまりの女遊びへの惚けぶりに、与謝野晶子さんに見咎められたという話しもでてきます。

ぼくが羽目をはずして紀元と遊び歩いていることを一番心配したのは与謝野晶子夫人であった。ある日ぼくはたいへんにひどく叱られた。晶子夫人はふだんは心のやさしい、稀にみる思いやりのあるひとであった。(中略) そのおおらかさが相対するものにいつも温かなものを感じさせるのであった。その晶子夫人が、きわめて短いことばで、ぼくの放埒を咎めたときの、あの鋭い眼ざしはいまでも忘れることができない。なんと答えたかおぼえていないが、おそらくしどろもどろであったことはまちがいないであろう。
[奥野信太郎、『女妖啼笑- はるかな女たち』より]

与謝野晶子さんが、麹町中六番町、いまの四番町に住んでいた頃の話しかと思います。


ここまであけすけに語る奥野さん。歳を重ねて達観したからなのかもしれませんが、こんなにも個人的にいだく女性への気持ちを書いた本はあまり読んだことないかもしれません。奥野さんが大学の先生していたというということも驚きます。
自身の遍歴について書かれた本は、美川徳之助さんの『愉しわがパリ ー モンマルトル夜話』、池田満寿夫さんの『エロチックな旅』くらいしか思い浮かびません。


奥野信太郎さんの本の魅力〜『町恋の記』と『かじけ猫』
2019年8月18日の日記



by momokororos | 2019-10-29 22:07 | | Trackback(86) | Comments(0)