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2019年 09月 05日 ( 1 )

男女の会話や共感のずれ〜黒川伊保子さんの『女の機嫌の直し方』

黒川伊保子さんの『女の機嫌の直し方』。

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タイトルがあまり好きでなく敬遠していたのですが、手にとって内容を見ると人工知能の話しにからめての話しの展開だったので、買って読んでみました。

解剖学的な脳の性差ではなく、人工知能の研究者としての立場から男女の脳の違いについてアプローチした書かれている本です。 解剖学的な脳の違いが男女の言動に及ぼされることを書いた『話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く』が引用されていますが、わたしもむかし興味深く読んだ本です。


『女の機嫌の直し方』には、女性の脳と男性の脳の能力の特徴の違いを明確にしつつ、女性と男性の現実の会話や共感にずれについての説明がされており、読み手が男女どちらであってもなるほどと思う内容が書かれています。過去の経験に裏打ちされた女性の直感能力と、生きていくうえでの女性の共感ということの大切さが書かれています。女性の機嫌の直し方だけでなく、男女の違いを認識することで「お互いの機嫌を直し」、よりよくコミュニケーションできることを語られています。

この、黒川さんの脳の性差の説明は深く納得できるものですが、わたしは、黒川さんの人工知能の研究者で新しく想像される人工知能(ロボット)について語られているくだりが印象的でした。


 男女脳は、違う。
 人工知能のエンジニアである私に、それは重くのしかかってきた。―私たちが目指す「人工の脳」は、いったい、どちらの脳を目指しているの?
 答えは簡単である。
 ときの人工知能研究の最前線には、男性しかいなかった。彼らは、何の疑問もなく、男性脳をもって「ヒトの脳」と信じていたのだ。
 このまま放っておけば、男性脳をもって、人類の脳とされる。しかも、実際にサービスの現場に送られる「ヒトの言うことを聞く従順なロボット」は、おそらく、男性たちの妄想上の「若い女性」を体現したものになるに違いない。逆に医師やエンジニアなどのロボットは、男性を模すことになる。女性の等身大の気持ちとは、大きくかい離したところに、人工知能の時代は開かれることになる。
[黒川伊保子、『女の機嫌の直し方』より]


少し前に、映画の『エクス・マキナ』のことを日記に書いていますが、黒川さんの危惧しているそのままのアンドロイドロボットが作られています。
また、AI開発が白人男性に偏っていることが指摘する番組がテレビで放映されていました。社会偏見がそのままAIに学習してしまっている懸念も言われています。


黒川さんは、こんなことも言っています。

 私たちが目指す人工知能は、男性脳なのか女性脳なのか、はたまたハイブリッドなのか、あるいは人工知能向けの第三のジェンダーを作り上げることになるのか、特に私は、感性の領域に踏み込む人工知能エンジニアだったから、大きな命題を叩きつけられたように思ったのを覚えている。
[黒川伊保子、『女の機嫌の直し方』より]


この黒川伊保子さんの『女の機嫌の直し方』のタイトル、「女の機嫌」ということで男女非対称のタイトルだし、始めは敬遠しましたが、たしかに目立つタイトルだし手にとってもらえているのかもしれません。


女性の社会的役割への意識〜「エクス・マキナ」
2019年8月14日の日記
https://momokoros.exblog.jp/28517422/

よかれと思って、という勘違い
2019年8月31日の日記




by momokororos | 2019-09-05 22:36 | | Trackback | Comments(0)