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2019年 08月 11日 ( 1 )

雨のスクラッチノイズ〜リドリー・スコット監督の「ブレードランナー」

先日読んだ、清水アリカさんの『昆虫の記憶による網膜貯蔵シェルター、及びアンテナ』は、考えさせるくだりがたくさんです。

この中に映画の「ブレードランナー」について書いてあります。

リドリー・スコットの「ブレードランナー」がロサンゼルスと東京というふたつの都市を、止むことのない雨滴のスクラッチノイズのなかに重ね合わせ、廃墟としての未来都市を描き出したように、「見えない都市」とは視線の崩壊する地点のことであり、それは廃墟のイメージと分かち難く結びついている。
[清水アリカ、『昆虫の記憶による網膜貯蔵シェルター、及びアンテナ』より]


このくだりを読んで、『ブレードランナー』が見たくなりました。4年前に見て以来です。

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公開は2007年で、残虐なシーンもありますが、SF映画の中でも特に好きな映画です。


スクラッチノイズとは、アナログレコードの再生するときのノイズのことです。傷や静電気や埃などが原因で起きる、チリチリ、ブツブツとした音です。

「ブレードランナー」の映画では、未来の廃墟のロサンゼルスに降る雨の音のスクラッチノイズが効果的に使われています。音だけではなく、映像上の雨は引っ掻き傷みたいで、これもスクラッチノイズかなと思います。

先日訪れていた長谷川書店さんでは、アナログレコードのスクラッチノイズのことを話していました。ノイズが入らないように細心の注意をはらっていたあの頃でしたが、いまはそのスクラッチノイズがいとおしく感じます。清水アリカさんもそんなことを書いています。



「ブレードランナー」の映画の時代設定は2019年。

煙突から炎が吹きあがる始めの映像は、川崎の臨海部の工場地帯をモチーフに作られたそうです。最近は川崎の臨海工場地帯は観光にもなっているそうですね。

映画は、ロサンゼルスが舞台で、混沌と猥雑な東洋の街をイメージさせ、日本のイメージも重なっています。街の巨大な広告塔に映しだされる映像は「強力ワカモト」の映像です。

人間と見まごうばかりに設計されたレプリカント。あらためて見ましたが、アンドロイドの正体を見極めるブレードランナー、生き延びたいと思うアンドロイド、アンドロイドかどうかを疑うアンドロイド。アンドロイドと人間の垣根、ココロのひだが描かれています。

陰翳のある映像に切ない音楽が効果的で、ただでさえ切ない物語がさらにせつなくなります。人間のいきつく先がこんな世界であるならば、少しさみしすぎます。こんな未来にしないようにしたいものです。

「ブレードランナー」には空を飛ぶ車がでてきますが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー 2」にも出てきます。「バック・トゥ・ザ・フューチャー 2」は2015年10月21日の設定でした。ブレードランナーは2019年11月でちょうど今です。こんな世界になるのはもう少し先のことかなと思います。


自分と街のシンクロ〜清水アリカさんの『昆虫の記憶による網膜貯蔵シェルター、及びアンテナ』
2019年7月14日の日記


by momokororos | 2019-08-11 21:28 | 映画 | Trackback | Comments(0)