小川洋子さんと堀江敏幸さんの『あとは切手を、一枚貼るだけ』を読みおわりました。
手探りで読んでいるという感覚に近い読み方なのですが、主人公の2人の想いと重なるものを感じます。まとまった感想は、まだ自分の中に定着していないので書けないのですが、興味深い話しがたくさんでてきます。
その中の1つが、宇宙素粒子観測施設の見学の話しです。
本の中では、具体的な名前は出てきませんが、岐阜飛騨の神岡町にある世界最大のニュートリノ観測装置のスーパーカミオカンデです。
[アンドレアス・グルスキー、『Andreas Gursky』より]
わたしは、スーパーカミオカンデは写真でしか見たことがないのですが、1000mもの地底深くのスーパーカミオカンデの内部は、壁には無数の金色の光センサーのガラス菅で覆われ、床は水がたたえられていて、スケールが大きく圧倒的であり、そして神秘的です。写真をよく見ると、水面には人が乗った小舟が浮かんでいます。
『あとは切手を、一枚貼るだけ』には、このスーパーカミオカンデの見学や小舟の話しが出てくるのですが、神秘的なほど静謐に満ちたスーパーカミオカンデの情景と同じように、思索的で深い物語です。私たちの感覚では測れないことに敏感な感覚を持つ2人が主人公で、共通した知識や体験、そしてそのことに対する想いがないと読みすすめるのがむずかしい小説かもしれません。
スーパーカミオカンデの写真が載った写真集の日記を、前に書いています。
マクロ的パターン〜アンドレアス・グルスキーさんの写真集
2017年8月27日の日記
『あとは切手を、一枚貼るだけ』〜小川洋子さんと堀江敏幸さん
2019年7月6日の日記