奈良の室生寺。 奈良の山奥にあるお寺で、訪れたお寺はたくさんあるなか、奈良のお寺の中で室生寺ほど回数重ねて訪れたお寺はありません。 室生寺には魅力はあまたありますが、一番の魅力は、可愛らしいふっくらとお顔立ちをされた十一面観音さまです。 室生寺の金堂に収められています。回廊から堂内の仏像まで距離があり暗くて見にくいのですが、雰囲気だけ味わっています。 この十一面観音さまを素敵に撮っているのが土門拳さん。 山形の酒田にある土門拳記念美術館で見た十一面観音さまの横顔の写真が素敵でした。 記念館では展示の写真がどの写真集に載っているかわかりませんでした。 室生寺のたたずまいと十一面観音さま〜土門拳記念館 2015年5月22日の日記 持っている土門拳さんの写真集の『土門拳 古寺を訪れて 奈良西ノ京から室生へ』の中には、室生寺の十一面観音さまのこんな写真があります。 [土門拳、『土門拳 古寺を訪れて 奈良西ノ京から室生へ』より] ふっくらとしたお顔立ちがよくわかります。 このアップの写真をみると、人によってはどうかなと思うかもしれませんが、わたしは可愛らしいと思っている室生寺の十一面観音さまです。 白洲正子さんはこの観音さまのことをこう書いています。 金堂は西側の扉から入るようになっており、入った所に十一面観音が立っていられた。お堂の中は暗くて、殆んど何も見えないが、ほのかな斜光の中に、観音様だけが浮び上り、思いなしか今日はことさら尊く見える。多くの十一面観音の中でも、この仏像は特に有名で、翻波式と呼ばれる衣文の彫りも、彩色も、貞観時代の特徴をよく止どめている。が、私にいわせればやはり山間の仏で、平野の観音の安らぎはない。両眼をよせ気味に、一点を凝視する表情には、多分に呪術的な暗さがあり、まったく動きのない姿は窮屈な感じさえする。 [白洲正子、『十一面観音巡礼』より] 「平野の観音の安らぎはない」とありますが、言われてみればそうかもしれないと思いますが、それにしても魅力ある観音さまです。 土門拳さんは『土門拳 古寺を訪れて 奈良西ノ京から室生へ』の中で、室生寺金堂の十一面観音さまのことをこう書いています。 金堂内陣の仏像の中ではこの十一面観音は非常によくできていて、本尊薬師如来とともに金堂の諸仏の中で優れたものである。肉身は胡粉地に彩色をほどこし、宝髻や、衣服の緑青などの痕、唇の紅が比較的残り、銅製の宝冠、胸飾りをつけ、はなはだ現実的な感じをもっている。顔は下ぶくれ、瞼ははれぼったくなって女性的である。金堂、五体の諸仏の内で最も肉感的なおもむきをもっていて特色がある。 金堂に入ると真っ先にこの観音像に魂を奪われる。薄暗くてぼーと暗闇の中に浮いている姿にたまらない色っぽさを誰もが感ずるであろう。唇に残る朱は、何ともいえず色っぽさに一段と味を加えて魅力をなしている。視線は中空を走り、仏の視線を追いかけようとしてもとどまらず、中空を走っていってしまう姿に魅了される。 [土門拳、『土門拳 古寺を訪れて 奈良西ノ京から室生へ』] [土門拳、『土門拳 古寺を訪れて 奈良西ノ京から室生へ』より] わたしがこの観音さまに感じる思いは土門拳さんに近い感じです。可愛いさに色っぽさが加わった魅力です。色っぽさを感じる仏像は他にもいろいろあって、こんな色っぽさも仏像の魅力の1つです。 室生寺のことは、岡部伊都子さんが素敵な歌にしています。 月明りの夜など 室生寺の金堂の舞台へ出て話し合っている 仏像たちを想像する。 (「露きらめく 伊都子短章」より) 「露きらめく 伊都子短章」〜岡部伊都子さんの本 2014年1月13日の日記 室生寺金堂には、十一面観音さまの他にさまざまな仏像があって、わたしもそんな光景を想像し、いにしえのロマンにひたれます。 部屋の中にバラバラになっている奈良や仏像関連の本を掘りだし、ふたたび見いっています。
by momokororos
| 2020-06-30 22:24
| お寺
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