小川糸さんが文で、平澤まりこさんの絵の『ミ・ト・ン』。 主人公のマリカが生まれたところから始まる物語。 楽しい気分が伝わったのなのか、数時間前にうまれたばかりのマリアまで、手や足を動かします。 そこにいる全員が、かわるがわるヤナギのベッドのそばに行き、マリカの顔をのぞきこみました。 ほっぺたは、パン生地のようにふっわふわ。 目のまわりには、なでしこの花びらみたいに、まつげがびっしりと生えています。 くちびるは熟れたコケモモのように真っ赤で、ミルク色の肌はすけるようでした。 そんなマリカを見ているだけで、だれもが幸せになり、幸せすぎて、なんだか泣きたくなってしまうのです。 [小川糸、平澤まりこ、『ミ・ト・ン』より] そして、マリカの恋。 恋人に会うための心情が素敵に表現されています。 さすがに、そろそろ空がうす暗くなってきました。 それを合図に、マリカはそっと家族のそばをはなれます。 マリカは、急ぎ足で村の小道をぬけて、森の奥の礼拝堂をめざしました。道ばたに咲くバラの花が、通りすがりの旅人をたぶらかすように、甘く、魅惑的な香りを放っています。 マリカは、花びらを一枚だけつみとって、胸元にしのばせました。そうすると、甘くて心地よい香りがするのを知っていたのです。 ほがらかな風の吹く夜でした。 [小川糸、平澤まりこ、『ミ・ト・ン』より] 恋をして森に過ごし愛をはぐくみながら、逆らえない時代の宿命にも生きたマリカ。 静かで優しい愛の物語です。 情熱的でありながらも、その想いをココロに秘めながら、次第に穏やかな気持ちで生きていけるようになっていくマリカに涙しました。わたしもそんな生きかたができたらなと思いました。
by momokororos
| 2020-02-11 23:09
| 本
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