多田尋子さんの『体温』。 神戸元町の1003さんからすすめられて手にいれた本で、裏表紙には1003さんの店長さんのオススメの言葉が載っています。 人と人のあいだの距離感をつづった3つな物語がおさめられています。相手に対して、踏みこんだつきあいか踏みこまないつきあいかの距離感に揺れうごく主人公の気持ちを描いた小説です。 誰かが近づけばその分あとずさりする感じが原口にはあった。そのくせ相手がいなくなるのを淋しがりあと追いするようなところもあった。きっといつも同じ間隔でいたいのだろう。いなくなってほしくない、でも近づきすぎてもほしくない。そういう感じだった。近づきすぎたとき必ず負けてしまっていたからではないか。相手の思うとおりにしてやってしまわずにはいられなかったからではないか。争うべきなのに気がつかなくて自然に道をあけてしまってきたのにちがいない。負けた、というのはその結果だったのだ。誰かに近づくたびに自分が薄くなっていく。自分が薄くならないときは相手が薄くなっている。 [多田尋子、『体温』より] 起こったできごとを直接的に書くだけではなく、起こるかもしれないことを思い、さざなみ立つココロを静かな筆致で描いています。経験したことのある想いに重なるような感じで、読む側に余韻が残ります。
by momokororos
| 2019-12-21 09:47
| 本
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