このあいだ金沢に行ったときに、お友達と好きな本の話しをしていました。 『空の名前』という本が好きとのことで、高橋さんの本かなと思いましたが、著者はわからないとのことでした。空の写真が表紙で表紙が厚い感じの本かなと聞いてみて、同じ本(写真集)だとわかりました。 高橋健司さんの『空の名前』。 金沢から帰ってきてからこの本を見ようと思ったのですが、ちょっと前のお部屋の本棚模様替えのときに、この本は別の場所に移したばかりだったのですぐ出てきました。わたしの持っている版とは別に新装版が出ているので、表紙が違うかもしれません。 高校か中学かはわからないのですが、教室で毎日のようにこの『空の名前』を眺めていたそうです。あんなに重たい本を学校に、と驚きました。 ちなみにわたしは高校生のときに、放課後教室で読んでいたのはテニスの雑誌でした。 『空の名前』は、わたしは社会人になってから手にいれた本なのですが、久しぶりに目を通してみました。 雲の名前、雨に雪に風に、季節の名前。思いだしました。雲の切れ間から射し込む幾筋もの光を表わす「天使の梯子」を初めて知ったのはこの本でした。大好きな二十四節季も載っています。 いまもときどき空を見ますが、むかしは、草原に寝ころんで流れる雲をみることに憧れていた頃もあったり、星や夜景をみるために仕事が終わったあとに車で丹沢の峠に行きそこで別の車でくるお友達に会ったりしてしました。 むかしより自然を見にいくいうことがなくなりました。見にいくのはお花くらいかもしれません。 空への憧れを思いおこすような文章で思いだすのが、哲学者でもあり山や自然の随筆を書く串田孫一さん。 串田孫一さんの『雲と大地の歌』。 冒頭から素敵な文章が始まります。 「雲は大地を撫でて行く。雲は海を渡り、山に戯れて遊ぶ。谷間にかくれて憩い、草原に寝そべる。新しく生まれ、素朴な表情で空を行く雲に、大地は見とれ、時々手をさしのべようとする。 [串田孫一、『雲と大地の歌』より] 私も夕暮れ時が好きでした。 日が西に傾き、あたりを黄金色に変えてから太陽が沈むと、雲が立体的に彩られる風景になり、さらに空が宇宙の色になっていく透明感ある時刻が私は大好きです。 そんな時間を串田さんはこんな風に書いています。 一日の終りを飾るために、五つ六つの塊となってやって来た雲は、赤と青との、幾重にもぼかされた空で、金にもえて消えて行きます。華やかな夕暮は、遠い天上の調べをきかせる星の夜を予感しています。 [串田孫一、『雲と大地の歌』より] ロマンチストだなと思います。 『空の名前』には、お天気に関する情緒ある日本の言葉がたくさん載っているのですが、別の著者ですが、『宙ノ名前』や『色の名前』の本もあって持っていますが、『空の名前』が一番好きです。
by momokororos
| 2019-01-30 23:00
| 本
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