椎名誠さんの『絵本たんけん隊』を貸してもらい読んでいます。 むかし、家というのがすごくこわい存在だった時代があります。(中略) 押し入れのかなとか天井裏とかといった絶対に怪しくて暗いところが、いまはぐっと少なくなってしまった。いまの子どもたちにとって、これは不幸なんです。(中略)日本の住居が、大きくて暗いものから、小さくて明るいものに変わってしまったように、自然そのものも、たぶんさらに激しく変わっていってしまうと思いますので、これは憂うべきことのような気がします。 [椎名誠、『絵本たんけん隊』より] 日本の陰影については、谷崎潤一郎さんの『陰翳礼讃』が有名で大好きな本です。 椎名さんの書かれている自然ではないですが、街にも暗がりがあり、自分の中に暗がりへの憧れを感じます。 よく行く京都では、あてもなく路地をさまよい歩くことが多いのですが、河原町通や四条通などの大きな通りは明るいにもかかわらず、一本二本路地に入るとかなり暗いです。京都一番の繁華街の街中なのになんて暗いのだろうと路地を歩くたびに思います。 一方、東京の街は、商店が途切れず、都心だと隣りの駅にいたるまでにぎわいと明るさが途切れないこともありますが、少し都心の中心からはずれた街だと、駅から離れていくと街の明るさがだんだんと暗くなりお店もポツポツとまばらになってくる街の際があります。そんな街の際の雰囲気に自分の知らない何かがあるかもしれないという期待感にワクワクする自分を感じます。 そんな街の1つが、渋谷駅からしばらく歩いた松濤や神泉、桜丘町、最近注目されている奥渋や代々木公園あたりに感じます。青山界隈は大通りをはずれると暗がりが多く、外苑前や千駄ヶ谷方面、高樹町、西麻布方面も暗がりが多くなります。 ただこれは治安が確保されているという前提で感じる気持ちであり、こわさがベースにあるかと思います。 暗さがなくなり想像力を駆使しなくてよくなっている現代、街中や電車やテレビなどの音の洪水などで人間の本来持つ感覚、感受性を奪っていることに対しても、椎名さんはなげいています。 この本で、椎名さんの話題は、住居、ウンチ、食、友達、生や死、などと多岐に渡り、そのテーマの絵本を紹介しています。 紹介されていた絵本で、読んでみたいのは、織茂恭子さんの『おかえし』。読んだことのある絵本でまた読みたいのが、ガブリエル・バンサンさんの『アンジュール』に『たまご』。バンサンさんの絵本を部屋で探してみたのですが見当たりません。図書館で読んだだけで持っていなかったのかもしれません。 椎名誠さんの本は、『さらば国分寺書店のおばば』を読んだのが初めてです。あとは椎名誠さんのお子さんとのことを書いた『岳物語』を読んだのを覚えています。少し部屋の本棚を探してみましたが見つかりませんでした。もう少し探してみたいと思います。
by momokororos
| 2018-09-15 22:31
| 本
|
Trackback
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||