内山さつきさんの『Vägen hem トーベ・ヤンソンの夏の記憶を追いかけて』に感化されて、持っているヤンソンさんの本を引っ張りだしてきました。 内山さんの本に、こんなくだりがあります。 嵐が大好きだったトーベ。彼女の小説には、実に魅力的な嵐の描写がたくさん出てくる。水も電気もないこの島で、もしも嵐が来たらどうなるのだろう。私は少しだけこわいような気持ちで、ひそかに期待していた。 [内山さつき、『Vägen hem トーベ・ヤンソンの夏の記憶を追いかけて』より] こちらは、芸術新潮のムーミン特集に載っていたトーベ・ヤンソンさんの小屋です。 内山さんの小冊子に引用されているトーベ・ヤンソンさんの文章。 『島暮らしの記録』に書かれている文章です。 わたしたちは小屋のようすを想像して夢をふくらませる。小屋には窓が4つ必要だ、どの壁にもひとつずつ。南東の窓は、島を横切ってずんずん迫る大嵐を眺めるために確保したい。東の窓は、溜り水に姿を映す月のためにとっておこう。 [トーベ・ヤンソン、『島暮らしの記録』より] トーベ・ヤンソンさんの画集には、こんな嵐のイラストがあります。 『たのしいムーミン一家』。 ここにも、嵐が好きなトーベ・ヤンソンさんを感じるくだりがあります。 海のすがたは、すっかりかわっていました。いまでは黒っぽいみどり色をして、白い波がしらをしきりにおったてています。岩という岩は、まるでりんみたいに黄色く光っています。おごそかに鳴りとどろきながら、かみなりは南のほうから近づいてきます。 それは、海の上にまっ黒い帆をひろげ、空の半分をおおっています。いなずまは、ぶきみな矢を、しきりにきらめかしました。 「あらしのやつ、まっすぐに島をめがけてくるぞ。」 こう思ってスナフキンは、こうふんとよろこびで身をふるわせました。 [トーベ・ヤンソン、『たのしいムーミン一家』より] まさに、トーベ・ヤンソンさんの喜びそのものです。 『トーベ・ヤンソン ー仕事、愛、ムーミン』。 この本には、 『たのしいムーミン一家』で島に出かけた一家が雨嵐に遭い、帆でテントを作り、ママが隙間を苔で埋め、スノークげ雨水はけ用の溝を掘るシーンは、現実世界が物語に入り込んだものなのだ。 [ボエル・ウェスティン、『トーベ・ヤンソン ー仕事、愛、ムーミン』より] とあり、 『たのしいムーミン一家』には、こんな風に書かれています。 遠くで、ゴロゴロやりだしました。 「かみなりだ!おお、どうしましょう。 水平線上に、こわいような雲の峰があらわれました。それはどす黒い色をしていて、小さい明るいわた毛のような雲を前のほうにとばしています。ときおり、ものすごいいなびかりが、海の上をてらしだしました。 「島にのころう。」 と、ムーミンパパが決定をくだしました。 「一晩じゅう?」 と、スニフがあわれっぽい声をだしました。 「たぶんね。じきに夕立がやってくるだろうから、いそいで小屋をつくらなくちゃ。」 冒険号は、浜の高いところまでひきあげました。それから林のはずれに、船ね帆と毛布とで、いそいで小屋をつくりました。 すきまには、ムーミンママが、こけをあつめてつめました。スノークは、雨水がよくはけるように、小屋のまわりにみぞをほりました。 [トーベ・ヤンソン、『たのしいムーミン一家』より] そして、『芸術新潮』。 ここにも、トーベ・ヤンソンさんのグルーヴ島の小屋が紹介されています。 ムーミンシリーズは、もう1冊持っているはずですが、探しきれませんでした。 今日の絵本〜トーベ・ヤンソンさん ~2015年7月14日の日記 トーベ・ヤンソンさんの海辺の素敵な小屋〜内山さつきさんの『Vägen hem』 ~2018年9月9日の日記
by momokororos
| 2018-09-10 22:32
| 本
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