『夕べの雲』〜庄野潤三さんの本

庄野潤三さんの新しい本が発売されているので、それを読む前に、持っている庄野さんの本を再読しようと思い、部屋で目についた『夕べの雲』を手にとってみました。

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丘の上の風が強いところに建つ家に住む家族や自然の話し。

読み始めてこんな本だっけ?と思いました。なんのへんてつもない家族の話しで違う本を読もうかなと思ったのもつかのま、いつのまにか熱中して読んでしまっています。不思議です。

一年先になるか、二年先になるか、それが分からなかった。きっちりした性分の人なら、それを確かめるだろう。大浦は、もともと面倒臭がりである上に、はっきりしないことははっきりしないままでいる方がよい、無理にはっきりさせなくてもいいという男であった。
いいことなら、その時に喜べばいい。もしそれが悪いことなら、なお更はっきりしない方がいい。
[庄野潤三、『夕べの雲』より]

心配や杞憂で考えすぎてしまう、手がつかなくなることは誰もあることだと思いますが、わかっているはずなのに庄野潤三さんの言葉にうなづかされます。

庄野潤三さんの本を読んでいたのは4年前でした。

2014年7月25日
庄野潤三さんの「夕べの雲」を読みはじめる。かなり前から気になっていた本です。姫路のおひさまゆうびん舎さんで見つけた本です。

2014年7月27日
庄野潤三さんの「夕べの雲」。なにげない日常の中に起こるささいなできごとへのさざ波立つ心情の揺れを描いています。揺れは日常の中に吸収され思い出になりおだやかな日常が続いていく。家族が描かれた作品は、こまごまとした日常が描かれているにもかかわらず、読んでいて安心感を感じます。

2014年8月20日
庄野潤三さんの『夕べの雲』をこの前読んでいたのですが、図書館で『現代の文学18 庄野潤三』の中に『プールサイド小景・静物』を見つけました。 むかし文庫本で読んでいました。もう一度読んでみようかなって思うけど探しあてられるかな。

2014年8月30日
阿佐ヶ谷。コンコ堂さんと銀星舎さんに寄りました。庄野潤三さん、岡本かの子さん、リチャード・プローディガンさんの本を手にいれました。

2014年8月30日
コンコ堂さん、庄野潤三さんの本がたくさんあってびっくりしました。おひさまさんで庄野さんのおすすめ聞いたのを忘れてしまって、『メジロのくる庭』を買ってみました。青樹社さんの本も置いてありますね!

2014年8月31日
夜になって庄野潤三さんの『メジロの来る庭』を読みはじめる。『夕べの雲』にでてくる庄野さんの住んでいた「風が強い丘の上の家」が、多摩丘陵の生田ということがわかりました。高台のあたりも想像がつく。一気に親近感増しました。
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2015年4月18日
阿佐ヶ谷。コンコ堂さん。久しぶりにきてみると品揃えがすごい。庄野潤三さんの本が22冊もあります。
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日常の風景の魅力〜小沼丹さんの『小さな手袋/珈琲挽き』
2016年10月17日の日記




by momokororos | 2018-08-11 22:32 | | Trackback | Comments(0)


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