林芙美子さんの『放浪記』。
ときどき取りだしてきて、好きなところをきままに読みかえしています。 ![]() 地球よパンパンとまつぷたつに割れてしまへ!と怒鳴つたところで、私は一匹の烏猫、世間様は横目で、お静かにお静かにとおつしやる。 [林芙美子さんの『放浪記』より] なんとも奔放で豪快で、林芙美子さんらしいです。 お腹がすくと一緒に、頭がモウロウとして、私は私の思想にもカピを生やしてしまつた。 あゝ私の頭にはプロレタリアもブルジュワもない。たつた一握の白い握り飯が食べたい。いつそ狂人になつて街頭に吠えようか! 「飯を食はせて下さい」 眉をひそめる人達の事を思ふと、いつそ荒海のはげしい情熱の中へ身をまかせようか。 [林芙美子さんの『放浪記』より] 『放浪記』は、小説の中で一二を争うほど好きな本です。 強いところも弱いところも素直に表現している林芙美子さん。 いきどおるココロに、厭世的な気持ちに、楽天的な気持ち。矛盾をかかえながら、蹴とばし、へこみながらも、他人を自分を笑いとばしながら生きていく人間らしい主人公にいたく共感してしまいます。 舞台は、渋谷道玄坂、神楽坂、新宿、三軒茶屋であったりして、大正末から昭和初期の東京の街に想いを寄せます。 いまの普及している『放浪記』の前に書かれている改造社版の『放浪記』は、林芙美子さんの素直な感情が書かれていると言われています。 比べてみたことはないのですが、新潮文庫の『放浪記』も持っているので比べてみたいです。 ![]() みすず書房の『放浪記』は改造社版で、巻末に改造社版から林芙美子さんがどう書き換えたかを詳しく解説しています。
by momokororos
| 2016-07-25 20:25
| 本
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