何冊も本を並行して読むことが多いのですが、最近は江國香織さん、川上弘美さん、薄田泣菫さんの本を読んでいました。
不思議とつながるものがあると感じたので紹介します。

江國香織さんの『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』。
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主人公の女の子のこんな文章がでてきます。

「おかしいのは、おなじしつもんにべつなこたえがかえることで、たくとには、でもそのどれもがただしいこたえにおもえる。」

理解するのではなく、感じること、受けいれることができる主人公。世界はなんといろいろなものに満ちあふれているのだろうか、とあらためて感じさせる作品でした。
江國さんらしさも残りながら、新しい視点の物語かもと思いました。

川上弘美さんの『水声』。
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川上さんは好きな作家さんの1人。
いままでの川上さんの本とは少し違う感じがする物語でしたが、このくだりを読んで自分の中で腑に落ちるものがありました。

「... たくさんの種類に分化していて、それぞれがちゃんとニッチを占めていればいるほど、繁栄してるってこと、なんだと思う。...」「じゃあ、人間も、いろんな種類がいて、それぞれに住みわけしていればいるほど、繁栄してるってこと?」

いわゆる一般の家族のつながり方とは違う主人公の家族の個性が描かれ、お互いに違うものを感じながら認めあっている物語です。

薄田泣菫さんの『獨樂園』。
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先の2冊が新刊本屋さんで手にいれたものなのですが、こちらは大阪水無瀬の長谷川書店さんで手にいれた1冊。

最初から惹かれる文章だったのですが、終わりまで素敵でした。

『花を待つ心』。
「どちらを向いて見ても花の微笑みだ。」で始まります。

なまめかしさも清純さもあわせもつ文章は、堀口大學さんの詩を彷彿させます。蕾から花開く瞬間を待つ著者の姿が目に見えるようです。

「彼らは群生する。多くのものと一緒にゐるのが、生活の真の姿であるかのやうに。」

多くのものと一緒にいる、ことの大切さ、豊かさを感じます。

これら3つの本とも、多様な存在やモノがあることが世界のあり方として自然なことである、と肯定的にとらえていて共感がもてます。

往々にして、違うということが受けいれられないことがありますが、受けいれるココロを持っていきたいなって思います。
by momokororos | 2015-03-16 22:35 | 読書 | Comments(0)
森田たまさんの『ゆき』を読みはじめました。

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森田たまさんは、『もめん随筆』からはいり、『石狩少女』の小説でぞっこんになった作家さんです。

この『ゆき』の中で、たまさんが新潟を訪れたときの文章がありますが、その中に良寛さんの書のことがでてきます。

たまさんの字を見た北大路邸のご主人から良寛さんをよくごらんと言われ、良寛さんの書に対したたまさんの印象が書かれています。
「非力の者があまりに高いものにむきあふのは、かへつて不幸かもしれない。」
北大路邸のご主人は、魯山人さんのことだと思います。魯山人さんも良寛研究で有名だったそう。


岡山県立美術館での川端康成さんの展示会を見に行ったときに見かけた、川端康成さんのノーベル文学賞の記念講演の「美しい日本の私」に良寛さんのことが引用されています。
そのときは、よくわからず詳細は読みませんでしたが、あらためて読んでみます。
良寛さんのこんな歌が引用されています。

いついつと待ちにし人は来りけり
今は相見てなにか思はん

いつくるか待っていた人が来てくれて喜びを表現しています。


白洲正子さんの『風姿抄』には、良寛さんの「天上大風」の書ての出会いのことが書かれています。
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『風姿抄』の口絵に載っている写真です。
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白洲さんは、「天上大風」のことをこう書いています。

この「天上大風」は、ちびた筆で、
墨がにじもうが、飛び散ろうが、
まったく意に介さぬていう風で、…


今まで良寛さんのことはときどき目にしていましたが、この機会にしっかり読んでみようかなと思います。
by momokororos | 2014-10-13 13:01 | | Comments(0)

「田園小景」

森田恒友さんの「田園小景」。昭和29年刊。

文章も絵も素敵。ページの余白にもホッとします。

「たそがれ時」より。

日が西に落ちて、野面が暗緑に染められる。村人はぼっちりと黒く草の上に浮く。
たそがれの天地は静かで誠に親しい。

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by momokororos | 2013-07-06 13:20 | | Comments(0)
萩原朔太郎さんの歌集「月に吠える」。

装幀がものすごく素敵です。
初版本復刻なのですが、よく作ったなあって思います。

外箱、2つ目の箱、本体をくるむ箱と3つもの箱があります。

こちらは2つ目の箱の装幀。

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本体の装幀。

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不揃いな紙を束ねた感じのページ。

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明るい内容の詩集ではないけど、「猫」という詩が好きです。

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旧漢字で書かれた文体も魅力です。
ところどころ、紙が切れてなくて袋とじになってしまっているページもあるのだけど、
これも復刻なのかな。
by momokororos | 2013-04-07 22:10 | | Comments(0)
堀多恵子さん。

「風立ちぬ」の著書の堀辰雄さんの伴侶です。
多恵子さんの本は2冊しか読んだことないのだけど、好きな作家さんの1人です。

今日、お部屋で別の本を探していたのですが、
多恵子さんの本が目にとまり、そのうちの1冊を読みかえしました。

多恵子さんの文章は、高原の明るい風景が浮かんでくるようで、
とってもすがすがしい気持ちになります。
限定出版の装幀も美しいです。
持っているもう1冊の本も素敵なので、読みかえしたいと思っています。

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by momokororos | 2013-03-23 20:13 | | Comments(0)
国をあげて守り、ときには国からの検閲のなか、読みつがれてきた数々の本。
全国津々浦々、図書館、学校の図書室、本屋さんがあって、本の持つ力を感じます。
過去から現在にまでいたる人間の想いと叡智がしるされた本に、自分の小さな想いを重ね、その魅力を少しでも伝えることができたらなって思ってます。

「石との対話」文 矢内原伊作、写真 井上博道、淡交新社

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大阪城のことを前に書いたときに話題にした本です。
表紙の写真(飛鳥の亀石のアップの写真)はあまり好きではないのですが、
中味はとっても素敵な写真と文章の本なのであらためて紹介したいと思います。

去年初めて読んでから、ときどき読みかえしているのですが、
石の写真もさることながら、矢内原さんの石に対する思索が素敵で魅力倍増です。

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上の写真のタイトルが「抵抗の精神」。
井上さんの写真に対して矢内原さんの言葉が付与されて息づく力を感じます。
さらに、自然が織り成す造型だけではなく、
人間が自然と向きあい、石を拝み、石を積み、石を刻んできた想いを感じさせられる本です。
素敵だなって思うだけで通りすぎていってしまう写真が多いなか、
本に載っている場所に実際行ってみたいと強く感じさせる魅惑の本です。

下の写真の右側は東大寺のものですが、去年東大寺を訪れていながら見ていません。

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去年、この本に載っている大阪城の巨石を探しにいっています。
この本の初版発行が1966年。載っている写真はそれ以前の写真です。
40年以上過ぎた今、見つけた巨石まわりの風景は過ぎた年月を感じさせるものでした。

「大阪城の巨石~「石との対話」」~2010年10月20日の日記
http://momokoros.exblog.jp/13464281/

下の写真の奈良飛鳥の石舞台古墳にも去年に訪れるつもりでしたが、
いつもの寄り道三昧で見にいけず、今年は是非見に行ってみたいなって思っています。

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前から石舞台古墳には憧れているのですが、その想いをまた書ければと思います。
by momokororos | 2011-01-24 22:14 | 読書 | Comments(0)
年末から、雑貨屋さん、本屋さん、職場のお友達が紹介してくれた本がたくさんでした。
お片づけやらお出かけやらで、いまだ読みきれていない本がまだあるのですが、
紹介いただいた本の中で、いいなって思った本の1つです。

「アミ 小さな宇宙人」エンリケ・バリオス 作、石原彰二 訳

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宇宙から地球にやってきた「アミ」。
地球の子どもの姿に変身しているけれど、文明が発達した宇宙の星の住人。
地球の少年に接触して、少年とともに地球のことを話し、他の星々を見てまわります。

生き方や愛などを真正面に捉えた話しで少しこそばゆい感じもあるのですが、
価値観や幸せなど、日々忘れていたことを考えさせらるような物語です。
その場そのときに感じることの大切さ、できることあるのに理想だけを求める気持ちなど、
アミと少年の会話にハッとさせられるところたくさんでした。

3冊シリーズなのですが続けて読みました。
あらためていろんなことを考えてみるきっかけをいただいたと思っています。

ジョディ・フォスターさん主演の「コンタクト」が好きな映画の1つですが、
このアミと世界観が共通するところがあると思ったのは私だけでしょうか?
by momokororos | 2011-01-08 12:04 | 読書 | Comments(0)
小川糸さん、大好きな作家さんの1人です。
近著を読んだので、その感想を書いてみたいと思います。

小川糸さんの作品は、「食堂かたつむり」「蝶々喃々(ちょうちょうなんなん)」「ファミリーツリー」、そして今回読んだ「つるかめ助産院」と読みついでいます。

「食堂かたつむり」「蝶々喃々」を読んだときの感想です。

「喋々喃々~小川糸さん」~2009年2月24日の日記
http://momokoros.exblog.jp/9692520

「ファミリーツリー」の感想は書いていませんでしたが、信州の穂高が舞台です。
私の大好きな碌山美術館や安曇野ちひろ美術館があります。
小説の中にも、ちひろ美術館がでてきます。

小川糸さんの文章はとっても素直で心にスっと入ってくる感じがします。
物語りの中で、強い絆と思われていた仲も、あるきっかけでもろくも崩れてしまう。
価値観、お金、いのちを通じて人と人とのあいだの気持ちを描いている作品で、
希望を忘れない素敵な作品です。

今回読んだ「つるかめ助産院」。

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南の島を舞台にした物語です。
小川糸さんの主人公は傷ついたり悩んだりしている人たちです。

思い出の南の島を訪れた主人公、
後ろ向きな気持ちと、どうにもできないもつれた感情にさいなまされます。
南の島で出逢った人たちとのかかわり、自然や食べ物を通じて、そんな感情から、喜びを感じ、変化に気づき、確かな実感を感じていきます。
主人公を取り巻く人々の生き方や考え方を通じて、自分の気持ちだけでなく他の人の気持ちを受けとめることができるようになっていく主人公に、共感し心洗われるような気持ちになります。

図書館で読んでいたのですが、涙しそうになり読み進めることができないこともありました。
タイトルにある「助産院」の話題も素敵で、とってもいい作品だと思います。
by momokororos | 2010-12-16 22:24 | 読書 | Comments(0)
読んだ本の印象をしばらくぶりで書いてみたいと思います。

江國香織さんの新刊の「抱擁、あるいはライスには塩を」(集英社)です。
大好きな作家さんなのですが、「がらくた」という小説を読んだときにどうかな?って感じて、しばらく遠ざかっていたのですが久しぶりに手にとってみました。

江國さんの本で初めて読んだのが「きらきらひかる」。そして「ぼくの小鳥ちゃん」は江國さんの中で一番好きな小説で、これまで私が読んだ本の中でも一番好きな本なんです。

「抱擁、あるいはライスには塩を」は、感じいるものがありました。

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かなり大きな屋敷に住む家族の物語です。
章ごとに家族のそれぞれの視点で文章が綴られています。
時代を行きつ戻りつしながら、他の人のまなざしを通じた登場人物が少しずつ語られ、お互いの関係を含めた人物像が浮かびあがってきます。

その家族は独特な価値観を持ち、世間一般の常識とはかなり異なった生活をしています。
ある機会にその家族の中に飛びこんだ女性が感じる違和感、さらに家族の子供たちが世間に接したときの違和感や苦悩が描かれています。現実にも価値観の違いにとまどうこともあると思いますが、小説ではそこを深く掘りさげているって感じです。

テーマとは別に、その場にたたずむ日常の風景の描写力が秀逸です。文字の表現ながら五感で感じられるような文体は江國さんの得意とするところかなって思います。
by momokororos | 2010-12-09 23:13 | 読書 | Comments(2)
同じ食べるならおいしいものを食べたい!と思っています。探検してお昼にはいろいろ食べていたりもしながらグルメな話題を最近書いていません。おいしいものを想いおこすかのように食の本をいろいろ読んでいるのですが、最近読んだ本の紹介です。

小島政二郎さんの「吟味手帳」(日本経済新聞社)

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COW BOOKさんで「京都なるかな」と「熊本城の美しさ」の章を見て買いました。
京都も好きですが、熊本城は全国で一番好きなお城で共感しました。
熊本城が出てくるくだりは、ほんのわずかなんですけどね。

東京、京都、大阪、神戸、名古屋、長崎、福岡など全国のおいしいところが満載です。
おいしいものはとことんまで褒め、そうは感じられないものは辛口になります。
昭和46年の本なのですが、今でも残っているお店がいろいろと出てきます。
中でも京都のおいしいお店の話題が一番多いです。京都のことを贔屓にしすぎたと言っていながら、また京都の味の話になっています。堺萬、鍵善、鳥弥三、大市、辻留、麩嘉、湯葉半、河繁、京味、神馬堂、松屋常磐など、お料理から甘いものまで、旅や料理を囲む文人たちの交遊も含めて描かれています。
行ったことのあるお店に共感し、行ったことのないお店に憧れながら読み進めていました。
これをきっかけに自分の舌で確かめてみたいって思っています。

京都国立博物館近くにある鰻雑炊の「わらじや」、昔は「わらんぢや」で、今のお店と別物のお店だったそうです。蝋燭の火を照明として使っていた頃もあったとのこと。谷崎潤一郎さんが訪れたときの話しや「陰翳礼讃」の文章のくだりも引用されています。陰翳礼讃は好きな本なのですが、あらためて読んでみたいなって思いました。

鳥料理の話題が後半に書かれていて、鳥好きの私にはたまらない文章で、お店が今でもあるかな、という期待感も持ちながら読み進めていました。久しぶりに行きたいなって思うところがたくさんでした。その中でも東京の薬研堀の「鳥安」さんは、値段はかなりはりますが行ってみたいなって思う筆頭です。
「今も繁昌している鳥屋は十軒近くあるだろうが、昔馴染の第一は、薬研堀の鳥安を挙げなければなるまい。鳥と言っても、ここは相鴨だ。相鴨とは、よくは知らないが、鴨とあひるの合の子だそうだ。これが存外うまい。私なんかには、本当の鴨よりも癖がなくってうまい。こんなことを言うと、本当の食通には笑われるだろう。この店は、古くは谷崎潤一郎の御贔屓の店だった。初めはジュージュー焼いて食べる。谷崎好みのしつッこい味で、しつッこい物の好きな私には幾らでも食べられる。」
(小島政二郎「吟味手帳」より)

天麩羅のうまいお店もでてきます。
料理の中で天麩羅が一番好きなのですが、今でもあるお店が載っていてうっとりです。

少し前に神戸元町の「ハニカムブックス」さんで買った「あまカラ」にも、
小島政二郎さんが「食ひしん坊」というタイトルで連載を載せていました。

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1960年7月の「あまカラ」の中の連載は、「食ひしん坊(102)」が載っています。
連載が102とはすごいです。どこまで続いていたのでしょうか。

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昔の作家さんは、うまいものを食べているような気がするのは気のせいでしょうか。
今のお店からすると、かなり高いと思うお店に訪れていていて憧れます。
嵐山光三郎さんの「文人悪食」を読むと、借金をしていた輩も多かったみたいです。

前に日記に書いた山内金三郎さんの「甘辛画譜」に出逢ってから沸きおこるグルメ心。
グルメ巡りが再燃してしまいそうです。
by momokororos | 2010-02-04 22:58 | 読書 | Comments(0)

かわいいもの、ちいさなものが大好きです


by ももころろ