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岡本かの子さんのことを書いた瀬戸内晴美さんの『かの子繚乱』。

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かなり魅了させられる本です。
他の人から見聞きするかの子さんの姿を瀬戸内さんなりに解釈し、かの子さんの魅力を伝えています。

かの子さんのことを書いたくだりです。

要するに、かの子の感情も行動も、物事の両端をゆれ動き、その振幅度の広さは常軌を逸した感を世人に与えるらしかった。中庸を欠く平衡感覚の欠如、強烈なエゴの示顕欲、王者のような征服欲、魔神のような生命力、コンプレックスと紙一重の異常なナルシシズム……そんなものがかの子の体の中には雑居し、ひしめきあい、その結果、外にあらわれる言動が世間の常識と波長が合わなくなるのである。
奇矯と見られ、きざとさげすまれ、避難と誤解にあう度、かの子は世間との違和感に打ちのめされ、終生、苦しみつづけなければならなかった。
幸いかの子は全世界を敵に廻しても恐れなくていいほどの、強力な理解者に恵まれていた。夫一平と、一子太郎である。
[瀬戸内晴美、『かの子繚乱』より]

かの子さんの息子は、岡本太郎さん。
太郎さんは、かの子さんから大きな影響をうけたんだろうなって思います。
さらに続きを引用します。

生前のかの子に面識のある人々、殊に女性の間では、かの子は徹底的に醜いとされているようだ。(中略)
「あの美男子の一平さんがどうしてかの子のような不器量な女をお嫁にしてくれたんだろうって、その当時からうちで不思議がったものですよ」
[瀬戸内晴美、『かの子繚乱』より]

こんなにまで言われていたかの子さんですが、文章は続きます。

不思議なことに、それらと同時に、一方では、かの子の容貌に対して全く反対の意見を聞くことであった。(中略)
川端康成にかの子の泣き顔を叙した文章がある。
《岡本さんは厚化粧のために、かなり損はしたが、よく見ると、あどけなくきれいで、豊かな顔をしてゐた。それが泣き出すと一層童女型の観音顔になって清浄で甘美なものを漂はす時もあつた。岡本さんの美女(小説の中の)達の幻と共に浮かぶのは、この岡本さんの大きい泣顔である。涙を浮かべながら、苦もなく微笑んでゐるー》
[瀬戸内晴美、『かの子繚乱』より]

川端さんがかの子さんのことを童女型の観音顔というくだりがありますが、先日、倉敷の大原美術館に行っていたときに、工芸館の棟方志功さんの展示室で、岡本かの子さんの歌に棟方志功さんが版画を絵を描いた、「女人観世音版画柵」が展示してありました。
棟方志功さんが、岡本かの子さんの「女人ぼさつ」の詩を愛し版画にしたのが、「女人観世音版画柵」です。前に青森の青森市民美術展示館でも見ていた作品です。

「棟方志功さんの板画~青森市民美術展示館・棟方志功記念館」〜2015年 8月 6日の日記
http://momokoros.exblog.jp/23530315/

素晴らしい版画に、素敵な歌です。
棟方志功さんは、岡本かの子さんの歌だけでなく、本人も意識して描いた作品ではないかなと思います。

岡本かの子さんの詩を版画にしたものが他にも飾られていました。

薔薇見れば
薔薇の笑ひ
牡丹に逢はば
牡丹の威
あやめの色の優しさに

牡丹は岡本かの子さんが好きなお花ですが、他のお花もそれぞれが美しい、ひいては、それぞれの人も美しいということでしょうか。
大原美術館に前から飾られていたどうかはわかりませんが、こちらの版画も詩も素敵だなと思いました。


かの子さんの振る舞いと一平さんのやさしさ。『かの子繚乱』のはじめのくだりを読むだけで、一平さんがかの子さんのことを神格化するほど愛していたことがよくわかります。すべてを受けいれる気持ちはすごいなって思います。
このブログを書き終える直前に、もしかしたら、かの子さんの情動に対する一平さんの気持ち、それはやっぱり情動といえるものかもしれないものにわたしは惹かれているのかもしれない、とふと思いました。
素直に情動を表現できることに、魅力と憧れを感じます。

『かの子繚乱』は、少しずつしか読めていないのですが、今年読んだ本の中で特にいい本かなと思います。


「かの子さんへの想い〜岡本一平さん」〜
2017年 7月 1日の日記
http://momokoros.exblog.jp/25886290/

by momokororos | 2017-08-01 23:00 | | Comments(0)
岡本かの子さん。
かの子さんは岡本太郎さんのお母さん。
何年か前から、岡本かの子に興味を惹かれていました。

先日、会社をひけたあとに、学芸大学の流浪堂さんへ。3時間もお店にいたのですが、話しのあいまに、女流作家の棚に、小堀杏奴さん、矢田節子さん、岡本かの子さんなどの本がたくさん並んでいるのを見かけました。

気にかかる本はたくさんあったのですが、岡本一平さんが書いた岡本かの子さんの本の『かの子の記』、岡本かの子さんの『河明り』の本を2冊手にいれました。

岡本一平さんの『かの子の記』。

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岡本一平さんは岡本かの子さんの夫です。
この本は、かの子さんが亡くなられてからの、かの子さんを想う一平さんの気持ちを綴ったものです。

かの子がお花が好きだったことが書いてあるくだりです。

かの女は花が好きだつた。だが、それと関係なしとしても、かの女の性格には花が相應しいところがあると見える。かの女が眠つてから四十日近くになるのに、かの女の写真のまはりにはみなさんが持つて来て下さる花は絶えない。ときどき霊園へも持つて行つてやるのだが、まだそれでも、座敷の床と応接間な、花で賑かに咲き群れでゐる。庭の光景とは反対である。
牡丹、カーネーション、薔薇、スヰートピー、チューリップ、菜の花、春蘭、百合、アマリリス、フリージア、マーガレット、ーこの他、老齢の文豪からの贈りものに相應はしい、白の斑入り蘆の水鉢が、渋味を帯びて供へられてゐる。
[岡本一平、『かの子の記』より]


かの子さんの似顔絵も載っています。

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かの子さんが好きだった牡丹のお花の歌です。
この絵には、「一平」という文字が見えますが、そのあとの文字が読めません。一平さんの書いた絵なのでしょうか。
この本の「かの子の二度目のお盆」の中に、一平さんが牡丹の絵を描くくだりも出てきます。

牡丹の模様といへば、ちやうどその頃、女持の揮毫を頼まれてゐたが、他人に描いてやるなら、うちの者にもという気がするので、銀扇に牡丹の絵を描いて牌前に供へたものだが。かの子が牡丹が好きだつたことは人の知るところ。
[岡本一平、『かの子の記』より]


この本は箱入りの本ですが、本体の装幀にお花があしらわれています。

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箱入りで装幀も素敵なのですが、本の重さがかなり軽いです。発行を見てみると昭和17年。戦争中の刊行でした。

この本の中に、かの子さんの『老妓抄』のかの子さんの歌が引用されていて印象的です。

年々にわが悲みは深くしていよよ華やぐいのちなりけり

普通に読むと流して読んでしまうかもしれませんが、かの子さんの人生を知ると、感じいるものがあります。


もう1冊はまだ読んでいないのですが、岡本かの子さんの『河明り』。

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また今度読むのが楽しみです。


これまで読んだ岡本かの子さんの本です。

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もう1冊持っているはずの『芸術餓鬼 岡本かの子伝』はちょっと探しましたが見当たりませんでした。


昔の日記には、
岡本かの子さんの『女人ぼさつ』の詩を板画にした棟方志功さんの「女人観世音板画巻」のことを書いています。

棟方志功さんの板画~青森市民美術展示館・棟方志功記念館
2015年 08月 06日
http://momokoros.exblog.jp/23530315/


岡本かの子さんの『鮨』を手にいれたときの日記です。

京都散歩(其の六)~京都近辺本屋巡り
2015年 07月 26日
http://momokoros.exblog.jp/23470406/


こんなこともつぶやいていました。

2014年9月11日
岡本かの子さんの『食魔』の中の『家霊』。その冒頭に「山の手の高台で電車の交叉点になっている十字路がある。十字路の間からまた一筋細く岐れ出て下町への谷に向う坂道がある。坂道の途中に八幡宮の境内と向い合って名物のどじょう店がある。」。場所は違うけど駒形のうなぎ屋がモデルだと思います。

2014年8月21日
岡山県立美術館の「巨匠の眼 川端康成と東山魁夷」の展示会で、川端さんと岡本かの子さんの書簡が展示されていて興味をいだきました。東京中目黒のCOWBOOKSさんで手にいれた岩崎呉夫さんの『芸術餓鬼 岡本かの子伝』を読みはじめました。

2014年8月21日
明治から昭和を生きた岡本かの子さんは、岡本太郎さんのお母さん。少女時代を多摩川のほとりの二子や青山、京橋で過ごし、なかでもこよなく愛したのが青山だそう。晩年過ごしたのが青山高樹町。まだ読みはじめだけど、かの子さの生涯気になります。

by momokororos | 2017-07-01 22:25 | | Comments(0)

かわいいもの、ちいさなものが大好きです


by ももころろ