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昨晩、渋谷に行ったとき、ブックファーストさんに寄って手にいれた加藤幸子さんの『尾崎翠の感覚世界』。

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尾崎翠さんの『第七官界彷徨』と、尾崎翠さんの全集を持っているのですが、惹かれるものを感じながらもうひとつ感覚的に受けいれられていませんでした。


ある時期、尾崎翠とほんとうに親しく交わっていたのは、林芙美子だったらしいのである。
[加藤幸子、『尾崎翠の感覚世界』より]

林芙美子さんは大好きな作家さん。
尾崎翠さんと仲良しとは知りませんでした。東京の落合では一緒に住んでいたこともあったそうです。

林芙美子の文体は、素直で人なつこく、欲望はげしい彼女自身である。すぐ裸の自分を見せるけれども、相手も裸にせねば気がすまない。彼女の強い意志は、たとい失恋の最中でも「シャンと首をあげ」させる。
尾崎翠のそれは、自己を含めてあらゆるものに公平な描写である。主人公の少女も、少女がしたう従兄も、彼のはき出す鼻息も、かち栗でさえも、平等の価値を与えら淡々と語られる。その結果「私はだんだん悲しみから遠のいてゆく心理」になるのである。自分が裸になって相手に迫るという光景は、けっして起こらない。
[加藤幸子、『尾崎翠の感覚世界』より]

林芙美子さんは自分の感情をさらけだして強さも弱さも素直に語っているのが私にとって魅力です。尾崎翠さんの本を読むときも、林芙美子さんみたいな感情の吐露を無意識的にですが期待していた自分がいて、そんな期待感で読んでも尾崎翠さんの本はわからないのは当たり前かもと感じました。
以前にも、どんな本を読むときもそれまでのスタイルで本を読み続けている自分自身を感じたことがあり、読み方を何度か変えてきたことがあります。また今度話せればと思います。


著者の加藤さんはさらに、尾崎翠さんの第七官界、第七の感覚についてこう書いています。

第七官界では何が起こるか。日ごろ見慣れていたものの形、音、大きさが変容するのである。
(中略)
もちろんそのものに魔法がかけられて、ほかのものに化けてしまったわけではない。変容は、それを見たり聞いたりしている「私」の感覚世界の中で生じたのだ。
(中略)
第七官界は、固定概念を排除したところに生じる純粋の感覚世界なのだ。
(中略)
現代の抽象絵画はどうだろうか。あのねじ曲がった人の顔やものの形や、形にならない線や点や現実にはない複雑な色のすべては、想像の産物か、それとも画家の環境世界にほんとうに現われたものなのか。私はやはり画家たちはほんとうに視ているのだと思う。
[加藤幸子、『尾崎翠の感覚世界』より]

まどろみのときなどで感じられる感覚が、第七官界の入り口と加藤さんは言っています。
寝ているときの夢や、夢と現実とのつながりに興味があるので、まどろみのときに感じられるモノの変容の感覚の話しにはかなり惹かれるものがあります。

先に書いた本を読むときにいままでの読み方にとらわれている自分もそうなのですが、固定観念にとらわれずにいたいなって思います。

まだ半分くらいまでしか読みすすめていませんが、後半も読むのが楽しみです。

by momokororos | 2017-02-11 23:28 | | Comments(0)

かわいいもの、ちいさなものが大好きです


by ももころろ