美しきやまとうた~千二百年前の恋歌

先日、「倭座り(やまとすわり)」の観音さまの話題を日記にあげましたが、
今日は「やまとうた」の話題です。

お正月にNHKで再放送されていた「万葉集ファン200人が選んだベスト10」を見ていて、
万葉集にめざめ?、持っている本を引っ張りだしました。
探してみたら、持っている万葉集の本はこの1冊だけでした。

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万葉集におさめられている歌は、4500首くらい。
愛と情熱、自然、望郷の想いなどを綴った膨大な抒情詩です。
今と変わらぬ想いを抱いていた人たちに時代をこえた共感と感動を覚えます。

おととい仕事帰りに、前から目をつけていた万葉集の本を2冊購入です。

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あらためて読んでみると気になる歌がちらほらです。
百人一首で覚えていた歌もありますが、また今度紹介します。

今までBS hiで放送されていた「日めくり万葉集」という番組が
NHK教育テレビで今年の1月5日から放送が始まっていたことを知りました。

日めくり万葉集
■NHK教育テレビ
■毎週月曜~金曜 午前5:00~5:05
■(再)毎週月曜~金曜 午後1:55~2:00

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いろんな分野で活躍する人が選者となり、万葉集の歌への熱き想いを語ります。
放映時間がうまく合わない時間なので、昨日ビデオ予約しました。

初回は見れなかったのだけど、
額田王(ぬかたのおおきみ)の「あかねさす...」の歌でした。
「万葉集ファン200人が選んだベスト10」の番組の中でも1位の歌でした。
美しい響きを奏でていて、詠んだココロとその情景ががありありと浮かんでくるような歌でなんす。

「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」
 (あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる)
 ~紫草の生える、御料地の野をいらっしゃるあなた 野の番人に見られてしまいますよ 
  そんな袖を振って 私をお誘いになっては

近江での宮中の行事、薬草や鹿の角を狩るなかでの歌です。
あかねさす、というのは、「日」「昼」「紫」にかかる枕詞。
標野、というのは、一般の人がはいれない野で、禁野ともいわれることがあります。
袖を振る、というのは求愛の意味です。

この歌を詠んだのは額田王という女性。詠んだ相手は昔の夫である天武天皇。
のちに天武天皇の兄の天智天皇が額田王の夫になっています。
そんな3人の関係の中で読まれた歌なんでです。
昔の夫が額田王に袖を振っていて、歌の中の野守りは今の夫。
今の夫の天智天皇(野守り)が見ているかもしれないのに、
昔の夫の天武天皇が額田王に求愛するかのように袖を振っているということになります。

この歌に天武天皇が返した歌があります。
そんなことはないと?と、からかいの言葉をかける昔の夫の天武天皇です。

「紫草の にほへる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに われ恋ひめやも」
 (むらさきの にほへるいもを にくくあらば ひとづまゆゑに われこひめやも)
 ~美しい紫草のように匂いたつあなたが憎いなら、もう人妻になのに何で私が恋をするだろうか

妹、というのは、男性が妻や恋人を呼ぶ言葉です。
にほふ、というには、つややかな美しいこと。

複雑な人のココロを言い表していて、人の想いをとっても表現している素敵な歌だと思います。

万葉集の1首1首、少しずつ読んでいきたいと思っています。

その昔、中学高校時代の古文の参考書や教科書を捨ててしまったことがあって、
いまさらながらに後悔しています。
それ以来本を処分することはなく、これからも本だけは捨てることはないかなって思っています。
昔は嫌いだった教科の勉強も、
時を経て、いいきっかけがあれば興味を抱き、また勉強してみたくなるものですね。
逆に、昔の勉強はいいきっかけをもらったなって思うこの頃です。
by momokororos | 2009-01-08 23:17 | 気持ち | Trackback | Comments(0)


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