倭座りの美しい観音さま~京都泉湧寺(其の二)

京都泉湧寺の探訪の続きです。
再び泉湧寺道を下り、総門の外にある「即成院」へ。

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ここには、京都で一番好きな観音菩薩さまがいらしています。
結構仏像が好きなのですが。もの1つ好きで仕方がないのが、奈良中宮寺の観音菩薩さまです。

先日の日記で、即成院の観音菩薩さまについては書いているのですが、
五百円内陣まで入れて、まじかで二十五菩薩さまを見ることができます。
来迎仏で、あの世にいくときにお迎えにきてくれる菩薩さまです。
楽器を持っていて優しい笑顔の菩薩さまもいらっしゃいます。
あの世にいくときこわくないですよっと楽器を鳴らしてにこやかにお迎えしてくださるそうです。
京都平等院の壁面の運中供養菩薩さまも来迎仏だそうです。

泉湧寺は大好きなお寺で、こんな本を持っています。

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この中に二十五菩薩の写真が載っています。
もう1つ京都の仏像の本
「京都仏像を訪ねる旅」監修・伊東史朗、写真・講談社写真部、講談社カルチャーブックス

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この中には泉湧寺のお寺の章に、この即成院の観音菩薩坐像と、
先の日記の戒光寺の釈迦如来立像の写真が大きく載っているんです。

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泉湧寺の三世仏や楊貴妃観音をとりあげずにこちらだけというのもかなり珍しいかもです。

それでもお堂の薄暗い中で見る観音さまが一番で、写真では伝わないですね。
とにかくやすらかでいいお顔をされています。
そして座り方も倭座り(やまとずわり)といわれている正座に近いふわりとした座り方で珍しいです。

この二十五菩薩さまは苦難にあわれているらしく真っ黒にすすけています。
お寺の方もおそれ多くて触らないとのことでした。
昔は泉湧寺は一般の人は立ち入り禁止で、この二十五菩薩さまもその聖域の中にはいっていたので、
一般の人にも参拝させてあげたいということで、
泉湧寺の総門の外にお寺を構えることで、寺域なのですが、
形式的に一般の人の参拝を許したとの話しをお聞きしました。
よく見ると、総門の外にお寺の入口があります。

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右が参道に上にかかる総門です。左が即成院の入口です。


京都には、この倭座りされている観音さまが三千院にもいらして、
阿弥陀三尊像の観音菩薩さまと勢至菩薩さまです。

持っている三千院の本の表紙がちょうど勢至菩薩さまです。

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即成院のお寺の方と話していたのですが、
三千院の菩薩さまはもっと前かがみで、今にも身をのりだしてきそうな感じだそうです。
もう何年も前に見たきりなので忘れてしまいましたが、
写真で見るかぎりそんな感じです。

そしてこの即成院には、
平家物語の中で、平家の船の上にかかげられた
真紅の地の中央に金色の日の丸の扇を、矢でうちぬいた「那須与一」の墓があります。
那須与一は屋島の戦いの出陣途中にした病にかかり、即成院に参り平癒し、その後屋島の戦いで勝利した後、即成院で出家されたとのこと。

家に帰り、さっそく那須与一の載っている平家物語の本を見てみました。

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即成院では、お寺の方から丁寧に長い時間説明をいただきうれしいかぎりです。
泉湧寺は1月12日に七福神巡りがあって、このときばかりは各お寺の境内が混雑します。

訪れて思いだし発見して、はるか過去に思いを馳せて、
帰って勉強して気づかなかった見れなかったところを再発見して、
また行きたくなってしまう無限の楽しみがありますね。

今回引っ張りだしてきた本

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「私の百人一首」白洲正子、新潮文庫
「寂聴古寺巡礼」瀬戸内寂聴、新潮文庫
「京まんだら(上)(下)」瀬戸内晴海、講談社文庫
「古寺をゆく 境内地図 京都・奈良編」小学館
「京都仏像を訪ねる旅」監修・伊東史朗、写真・講談社写真部、講談社カルチャーブックス
「新版 古寺巡礼 京都27 泉湧寺」上村貞郎、芳賀徹、淡交社
「新版 古寺巡礼 京都4 三千院」小堀光詮、袋まどか、淡交社
「運慶の挑戦」上横手雅敬、松島健、根立研介、文英堂
「源平争乱と鎌倉武士」武光誠、井沢元彦、世界文化社
「平家物語を歩く 古典文学に出会う旅」日下力 監修、講談社
「百人一首」大岡信、世界文化社
「平家物語 栄華と滅亡の歴史ドラマ」学研
「芸術新潮 2009年1月号 大特集運慶 リアルを越えた天才仏師」新潮社
by momokororos | 2009-01-05 22:12 | 古都 | Trackback | Comments(0)


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