林芙美子さんの『放浪記』をたずさえながら旅をすることが多いです。
『放浪記』より引用します。 古い時間表をめくってみた。どっか遠い旅に出たいものだと思う。真実のない東京にみきりをつけて、山か海かの自然な息を吸いに出たいものなり。 あんまり昨日の空が青かったので、久し振りに、古里が恋しく、私は無理矢理に汽車に乗ってしまった。 林芙美子さんの気持ちわかります。 情熱や憂いも怒りも泣きたい気持ちも、欲情すらも素直に表現している林芙美子さん。 ふたたび引用します。 地球よパンパンとまっぷたつに割れてしまえ! と怒鳴ったところで、私は一匹の烏猫、世間様は横目で、お静かにお静かにとおっしゃる。 ああ何もかも犬に食われてしまえである。寝転んで鏡を見ていると、歪んだ顔が少女のように見えてきて、体中が妙に熱っぽくなって来る。 思わずにやりとしてしまいます。 林芙美子さんの素直な自分の気持ちの表現は、気持ちよいばかりだけでなく憧れすら感じてしまいます。
by momokororos
| 2017-04-30 13:24
| 本
|
Trackback
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||