名前には聞いたことある『サロメ』。
目にしたことがあるビアズリーさんの挿絵。 聞いたことある、見たことあるというそんな状態が長く続いていましたが、少し前に、原田マホさんの『サロメ』を読みました。 感想を書いてから日記にあげようと思っていたら、ずいぶん遅くなってしまいました。 面白くて2時間くらいで読みあげました。 原田マハさんは始まりの文章がうまいです。おごそかで浮ついた感じがない静謐さを感じる文章です。 原田マハさんは『カフーを待ちわびて』から読んでいるのですが、むかしの文体とはかなり変わってきているのではないかと感じます。 弟のオーブリー・ビアズリーさんのために身を売り、名声高いバーン・ジョーンズさんへ近づく姉。 そこで出会うオスカー・ワイルドさん。 オスカー・ワイルドさんが書いた戯曲をビアズリーに読んでほしいというくだりです。 ーその戯曲のタイトルは、〈サロメ〉。 哀しく、美しい恋の話だ。 ー破滅的なほどに。 [原田マハ、『サロメ』より] このくだりを読んで、ビアズリーさんのことをもっと知りたくなりました。 オスカー・ワイルドさん作、オーブリー・ビアズリーさんの挿絵の岩波文庫版の『サロメ』。 読みにくいかなという先入観をよそに、すんなりと読めました。 自らの踊りを披露することと引き換えに、宝石よりも珍しい孔雀よりも、恋してしまうも冷たくされる預言者ヨナカーンの首をほしがる王妃の娘サロメ。想いを果たしたサロメは王によって殺されます。 恋する気持ちが高じた悲劇でしょうか。 悲劇と書きながら、そうではないかなって気持ちも否めません。 わたしの好きな二階堂奥歯さんは、『サロメ』を恋愛ものベスト15の1つにあげています。 『サロメ』の文庫を手にいれた同じ日に、中目黒のdessinさんで見つけたビアズリーさんのイラスト集。 岩波文庫に載っている挿絵ですが、「ヨナカーンとサロメ」の絵です。 ヨナカーンを賛美するサロメの言葉は、格調高くありながらも退廃的です。 中目黒をあとにして、その足で学芸大学の流浪堂さんに寄ってみると、ビアズリーさんの展覧会の図録を見つけました。 これらの3冊の本は同じ日に見つけています。関連する本を偶然に次々と見つけることが多々あります。不思議なものです。 『サロメ』を読むと、古今東西、恋する気持ちは同じだなって感じます。 少し前に紹介した島崎藤村さんの『若菜集』の「おきく」をまた読みたくなります。 「おきく」の清姫が出てくるくだりです。 かなしからずや 清姫は 蛇へびとなれるも こひゆゑに [島崎藤村、『若菜集』「おきく」より] ビアズリーさんをめぐる話しも興味があるので、ビアズリーさんの図録の解説と絵を読みながら楽しみたいと思います。
by momokororos
| 2017-02-06 22:38
| 本
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