『カポーティとの会話』〜アル中、ヤク中、ホモセクシュアル、天才

ローレンス・グローベルさんの『カポーティとの対話』。

e0152493_20452719.jpg


姫路のおひさまゆうびん舎さんでみつけた1冊です。
表紙は山本容子さんの絵です。

カポーティさんの名前は知っているものの著書は読んだことがなく、本人へのインタビューが綴られている本から読むのは私にとって珍しいことです。

著者のグローベルさんは冒頭、ジャン・コクトーさんを引き合いにだしてきます。

私は偉大なフランスの芸術家・詩人・俳優・気取り屋ジャン・コクトーと直接面識ないが、言葉でいいあらわせないほど大きな存在であったオスカー・ワイルドが1900年に死んで以来、ワイルドにかわってこんどはコクトーが自分の存在すらも作品としてしまう芸術家として最高の存在になったと思う。
[ローレンス・グローベル、『カポーティとの対話』より]

カポーティさん自身もこう語っています。

ー コクトーは以前コレットに、あなたは年をとるように見えない、非常に邪悪な心を持っている、といったのではなかったですか?
そのとおり。
ー 彼はどのくらい正しかったですか?
さあ。私はコクトーをよく知っていた。彼のことをいちばんよく知っていたのが私が21歳のころだった。私は20代のころいつも実際より若く見られていた。私は15歳か14歳くらいのころだった。それでコクトーははじめて私に会ったとき、私が14歳くらいだと思ったんだ。
ー 当時、彼はいくつでしたか?
1947年のことだった。50代の後半だったと思う。彼は私の話し方や様子、それに私が書いたものやすべてのものから、私のことをーかれにはレイモン・ラディゲという親友がいた。わずか23歳で死んだ(実際は20歳で死んでいる)有名なフランスの作家だ。才能ある若い作家だった。彼は私がそのレイモン・ラディゲにそっくりだと思った。彼はレイモンには偉大な生命力の感覚があると思っていた。それで彼は「君はレイモンにそっくりだね」といった。
[ローレンス・グローベル、『カポーティとの対話』より]

ここしばらくジャン・コクトーさんに興味をいだいていることもあって手にいれました。

『カポーティとの対話』を読んでみると、かなり毒舌の強いカポーティさんが見えてきます。インタビューで質問される作家のことを大御所であろうがなかろうがほとんど批判的に話しています。

それでも、ジャン・コクトーさんやプルーストさんには惜しみない賛辞を述べでいたことに加えて、読んだことのある『アラバマ物語』の中にカポーティさん自身が登場人物として出てくること、マリリン・モンローさんとのつきあいや、『ティファニーで朝食を』の話しが出ていたので、興味深く読めました。『ティファニーで朝食を』はカポーティさんの著作だったのですね。

カポーティさん晩年の、インタビューに答える形の本なのですが、カポーティさんはかなり過激です。扇動的な質問でカポーティさんの過激な部分が出ているのかなとも思いましたが、カポーティさん自身の自信がそうさせているみたいです。


私はアル中である。
私はヤク中である。
私はホモセクシュアルである。
私は天才である。

という、カポーティさんの写真に書いてあるカポーティさん自身の4行の文章のことを著者のグローベルさんがとりあげていて、そしてこう語っています。

自分がいちばん正しいと思い込んでいるもったいぶった民主主義社会は、ジャン・コクトーやオスカー・ワイルドのように内部から痛烈にその社会を批判する芸術家を持つことでかえって利益を得ているのだ。つまり彼らのような人間がいるおかげで、芸術家というものはときに反社会的であり、支持されにくい主義を信奉し、他の人間には受け入れがたい行動をし、そして平気で社会を批判する言葉を口にするという事実を忘れられずにすむのだ。いや私はそれ以上につねづね、こういう芸術家こそが、積極的に社会を浄化し、社会を意識的にし、芸術がわかるようにし、そして彼らがいない社会よりもはるかに文明的にすると思っている。
私が生きている現代アメリカでそういう芸術家を3人あげることができる。ノーマン・メイラー、ゴア・ヴィダル、トルーマン・カポーティである。
[ローレンス・グローベル、『カポーティとの対話』より]

カポーティさんの批判的な毒舌に少し食傷ぎみでしたが、なるほどここまで批判的になれる人はそういないかもとの思いました。批判的になればなるほど自身も批判されるし、カポーティさんもかなり批判されていますが、それでも語りたいことを語っているカポーティさんが見え隠れします。

カポーティさんが批判している作家さんのことはほとんどが知らない作家さんなので、読んでみたい気持ちになりました。カポーティさんの著作も読んだことがないのですが、『夜の樹』から読んでみようかと思います。

by momokororos | 2017-01-04 21:58 | | Comments(0)

かわいいもの、ちいさなものが大好きです


by ももころろ