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2016年 11月 01日

ひとりだけの素敵な時間〜3冊の本より

「ひとりだけの時間」の素晴らしさを語っている3冊の本に同じ日に出会いました。

1つは、串田孫一さんの『山のパンセ』。

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串田孫一さんの本は数多く持っているのですが、風景や心情がありありと思い浮かぶような格調の高い描写に惚れています。

中目黒のdessinさんで見かけた『山のパンセ』は古い版だったので思わず手にとってしまいました。

この中の「ひとりの山」のくだり。

「私はこの頃、獨りで山に行きたいと頻りに思う。(中略)
そこで私は、獨りだつた時に、私は自分を相手に余計お喋りになつた。獨りになると、昔はせつせと歩いた。休むことの、つまり山の中に動かずにいることの、本当のたのしみを知らずにいたようだ。(中略) 遠慮なく、山で出会うすべてのものと話しを交わすことは獨りの時に多い。古い木々や、その木の枝先から落ちる霧の日の滴などは、最も真正直に私の言うことを理解してくれる。
[串田孫一、『山のパンセ』より]

自然に気づかされるのは、誰かと話したり一緒にいたりするときよりやはり1人でいるときの方がおおいし、自在に想いを巡らすことができます。能動的に得られる情報と受動的得られる情報と一般的にはいうのかもしれませんが、串田さんの言っているような休むことや動かないことで、受動的なだけではなく鋭敏になる感覚はあると思います。


『山のパンセ』を読みおえたあとに、図書館でアーノルド・ローベルさんの児童書の『ふたりはきょうも』を読んでいました。持っている本なのですが、すぐに手にとれるので図書館で再読していました。同じローベルさんの『ふたりはともだち』のシリーズです。

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この本の「ひとりきり」の話の中で、かえるくんを探していた友達のがまくんに、かえるくんが話すくだりです。

「ぼくはうれしいんだよ。
とてもうれしいんだ。
けさ めを さますと
おひさまが てっていて、
いい きもちだった。
じぶんが 1ぴきの かえるだ ということが、
いい きもちだった。
そして きみという ともだちが いてね、
それを おもって いい きもちだった。

それで ひとりきりに なりたかったんだよ。
なんで なにもかも みんな
こんなに すばらしいのか
その ことを
かんがえてみたかったんだよ。」
[アーノルド・ローベル、『ふたりは きょうも』より]

かえるくんが輝いています。
おひさまと、自分と友達のことを考えていてこの世界の素晴らしさを味わっています。それを伝えられる人がいるのも素敵です。


図書館に寄る前に、前からほしいと思っていた、メイ・サートンさんの『独り居の日記』を本屋さんで手にいれていたのですが、同じようなことが書かれているなって感じました。

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『独り居の日記』の冒頭です。

九月十五日
さあ始めよう。雨が降っている。
窓の外に目をやると、楓の数葉はすでに黄ばんでいる。耳を傾けると、オウムのパンチのひとりごとや、やさしく窓を叩く雨を相手のお喋りがきこえてくる。
何週間ぶりだろう、やっと一人になれた。”ほんとうの生活”がまた始まる。奇妙かもしれないが、私にとっては、いま起こっていることやすでに起こったことの意味を探り、発見する、ひとりだけの時間をもたぬかぎり、友達だけではなく、情熱にかけて愛している恋人さえも、ほんとうの生活ではない。なんの邪魔も入らず、いたわりあうことも、逆上することもない人生など、無味乾燥だろう。それでも私は、ここにただひとりになり”家と私との古くからの会話”をまた始める時ようやく、生を深々と味わうことができる。
[メイ・サートン、『独り居の日記』より]

まだ先を読んでいないのですが、現在のできごとに耳を澄ましたり、過去や未来に想いを寄せることの素晴らしさでしょうか?
読みすすめるのが楽しみです。


串田孫一さんの『山のパンセ』のことを書こうと思っていたのですが、ひとりだけの素敵な時間について書かれている本に複数出会えたので、そちらの日記になってしまいました。
串田孫一さんとメイ・サートンさんの本のことはまたあらためて書きたいと思います。


by momokororos | 2016-11-01 23:35 | | Comments(0)


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