『小さな男*静かな声』〜吉田篤弘さんの本

吉田篤弘さんの『小さな男*静かな声』を読みました。

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姫路のおひさまゆうびん舎さんで、吉田篤弘さんの話しをしていたときに、おすすめしてもらった本です。

吉田篤弘さんは、『つむじ風食堂の夜』、『木挽町月光夜咄』、『針がとぶ』を読んできました。


小説に出てくる主人公たちは、自分のことを書かれているかのような感じしました。

百貨店に勤める「小さな男」が主人公の1人。
そういえば、もしかして、こうではないか、やはり、というような自分自身の日常の思考過程や、「優柔不断な性格で、整理整頓が大の苦手で、そのうえこまごました買い物をするのが何より好きである。」と自己分析をします。

優柔不断で整理整頓が苦手なうえ細々としたものを買ってしまうのも、自分とそっくりでないかと思いました。


自分の声が嫌いなラジオのパーソナリティをしている女性がもう1人の主人公です。

よく行くお店の店先に「只今、支度中」の看板をだしているお店のくだりがでてきます。

支度中っのはそういうことなんです。まだ行き渡りませんが順にやってまいりますので、もう少々お待ちくださいーと、これが支度中ですよ。なにしろ僕ひとりでまわしているわけですから。僕ひとりで支度して俺ひとりで片づけして、次から次へとやって来るお客さんの愚痴をフンフンと聞いて、そんなこんなで、あっという間に今日が終わって明日になっちまって、なあんにも整わないままバタバタするうちまた夕方がやって来やがって、それで支度を始めてふと気付くとお前さんがそこに座っている。
[吉田篤弘、『小さな男*静かな声』より]

何も整わないまま明日になる、ってことは私もよく経験することです。そこに焦燥感をいだくかいだかないかは人それぞれかと思いますが、わたしは焦燥感を覚えてしまいます。
どこで折り合いをつけるかだと思うのですが、「常に進行中であり完結しない」ことについては私自身の課題かもしれないなと思いました。


サンダル履きで化粧もせず、すぐ近くの「そこまでちょっと」のつもりで家、話をでたのに、(中略)思わぬ遠いところまで行ってしまい、困ったなぁとつぶやいたことが一度ならず何度かあった。(中略)だから、自分としてはサンダル履きどころか素足のまま部屋から一歩も出ないつもりでいても、ヘルシンキやナイロビに出張に行くつもりで準備しておかないと後が恐い。
[吉田篤弘、『小さな男*静かな声』より]

わたしも出かけてからどこに行こうかを考えることがよくあって、気がついてみると遠出していることがよくあります。どこへ行っても困らないように出かけます。


日常生活の中での主人公たちの注意やこだわりが、自分のこだわりと重なるところがたくさん出てきます。2人の主人公の思いや語りを通じて、主人公が感じているのと同じ感情が自分の中にあるなと気づいて、読むのが楽しかったです。

by momokororos | 2016-10-24 22:40 | | Comments(0)

かわいいもの、ちいさなものが大好きです


by ももころろ