金沢慕情(其の三)~吉田健一さん

金沢慕情、吉田健一さんのことを書いてみたいと思います。

この前に金沢を訪れたあとに、持っている吉田健一さんが金沢のことを話題にしている本を2冊思いだしたので、引っ張りだしてみました。

『金沢 酒宴』吉田健一、講談社文芸文庫
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この本の冒頭で吉田健一さんは、金沢のことをこう書いています。

兼六園とか誰と誰の出身地とかいうことを考えることもなくて町を流れている犀川と浅野川の二つの川、それに挟まれていて又二つの谷間に分けられてもいるこの町という一つの丘陵地帯、又それを塗っている無数の路次というものが想像出来ればそれでことは足りる。

「誰と誰の」というのは、おそらく室生犀星さんか泉鏡花さんか徳田秋聲さんかと思います。
この小説では、犀川しか触れられていないのですが、犀川と浅野川、言われてみれば、悠々と流れる大河と、街中を流れる情緒深い川という感じがします。

『舌鼓ところどころ』吉田健一、文藝春秋新社
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この本は吉田健一さんが全国の美味しいものを食べ歩いたエッセイなのですが、長崎、広島、大阪、新潟、そしてこの前に訪れた酒田、金沢などの街で食べた美味しいものについて綴られています。

金沢のくだりでは、ばい貝について書かれています。

それからその晩の料理にばい貝が出た。これは法螺貝を二寸位の大きさにしたもので、壺焼きにしたり、甘く煮たりする。蓋がある所から箸を入れて、熟練した手付きでやれば、肉の一番先のところまで引き出せるが、その先の黒い部分が内臓なのにも拘らず、どこか優しい苦味があるのがここの貝の特徴である。肉にも一種のぬめりがあつて舌に媚びる。栄螺の壺焼きがごつごつしてゐるのと対照をなすもので、このばい貝も海の貝である。

ばい貝は、この前に金沢を訪れた折にいただきました。
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ばい貝のきももいただいていてお酒がすすむ一品でした。
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吉田健一さんは、1957年に初めて金沢を訪問し、1960年から76年に亡くなるまで毎年金沢を訪れていたそうです。
by momokororos | 2015-05-17 20:41 | | Comments(0)

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by ももころろ