東京三越前はときどき寄る街で、おいしいものを食べることが多いです。
銀座線の三越前駅の上の日本橋三井タワーは、千疋屋総本店さんが入っているビルです。 地下にはおししいお店がはいっています。落合さんのお店の「ラ・ベットラ ペルトゥッティ」さんや、親子丼のおいしい「比内や」さん、銀座のおでんの「おぐ羅」さんなどが入っていてどのお店も魅力です。 おぐ羅さんでお腹を満たしたあとに、 日本橋三井タワーに入っている「三井記念美術館」の展示会を見ていました。 「奈良の古寺と仏像 ― 會津八一のうたにのせて ―」 ■ 2010年7月7日(水)~9月9日(木) ■ 三井記念美術館 ■ 10:00~17:00 ■ 月曜日休館 ■ 東京都中央区日本橋室町2 三井本館7階(日本橋三井タワー1階から連絡) ■ 03-5777-8600 ■ http://www.mitsui-museum.jp/ 奈良のお寺の仏像の展示会です。仏像の展示もよかったのですが、 仏像への想いが伝わってくるかのような會津八一さんの詩も素敵でした。 美術館は7階なのですが、のロビーで展示されている写真は無料で見ることができ、 これを見るだけでも素敵だと思います。 7階にエレベーターであがり、展示を見ました。 法隆寺の展示。 金堂にあった壁画は、模写作業の途中で火事で焼けてしまったのですが、 その壁画の未完の模写が残されており、その写真が展示されていました。 會津八一さんがその壁画を見たときに詠った詩です。 おほてらの かべのふるゑに うすれたる ほとけのまなこ われをみまもる (おおてらの壁画の中に、薄れて消えかけた仏の眼が私をじっとみつめている。) 會津八一「南京新唱」より うすれゆく かべゑのほとけ もろともに わがたまのをの たえぬともよし (うすれてゆく壁画の仏たちと一緒に、私の生命が絶えてもかまわない。) 會津八一「南京新唱」より 悪い夢をよいう夢に変えてくれるという、ありがたい夢違観音さまも展示されていました。 ぷっくらとしたお腹もかわいいです。 中宮寺の展示。 中宮寺の菩薩半跏像さまが仏像で一番好きなのですが今回展示はなかったのですが、 三井タワーの1階ロビーで写真が展示されていました。 真っ黒な菩薩さまは、長い信仰の中ですすで真っ黒になったといわれています。 この菩薩さまは国宝なのですが、収められているお堂に訪れる人はそんなにいなくて、 お堂の畳にあがり、長い時間一人だけで静かに見惚れていることも多いんです。 みほとけの あごとひぢとに あまでらの あさのひかりの ともしきろかも (御仏のあごをひじのあたりに、尼寺の朝の光がほのかに射して、心惹かれることだ。) 會津八一「南京新唱」より 東大寺の展示。 五劫思惟阿弥陀如来坐像さまは珍しいです。 五劫(ごこう)というあまりに長い時間(21億6千万年)思いをめぐらしていたので、 こんなに伸びた髪型になっているそうです。 おほらかに もろてのゆびを ひらかせて おほきほとけは あまたらしたり (大きくゆったりと両手の指をお開きになって、この大仏は宇宙いっぱいに広く満ちひろがって おられるのだ。) 會津八一「南京新唱」より 室生寺の展示。 女人高野といわれる室生寺は好きなお寺の1つです。 ふっくらとかわいらしい顔立ちの「十一面観音菩薩立像」さまが大好きなんです。 もう1つの国宝の仏像の「釈迦如来坐像」さまがいるのですが、土門拳さんは「日本一の美男子のほとけ」と称されていました。 私自身は、この仏像にそんなに魅力を感じてはいなくて、今回の展示を見てもさほど心動かされなかったのですが。この釈迦如来坐像さまの写真が1階ロビーに展示されていて、それを見てハッとしました。 横顔がとても凛々しくて美しいんです。 室生寺は仏像だけでなく、シャクナゲの咲く季節や境内の緑の深さも魅力です。 みほとけの ひぢまろうなる やははだの あせむすまでに しげるやまかな (みほとけのひじの、ふっくらとしてまるみを帯びた肌に、しっとりと汗がにじんでいると 思われるくらい、室生寺の山々は緑が生い茂っていることだ。) 會津八一「南京新唱」より 室生寺のある山は本当に緑豊かです。以前台風で境内の樹齢650年の木が室生寺の五重塔に倒れ、五重塔が豆腐みたいに崩れてしまったことがあります。 その再建ために境内の木の皮を剥いで五重塔の桧皮葺に使って修復しました。 五重塔修復後に見にいったのですが。その剥がれた木々を見たことがあってその痛々しさと、 共生のすばらしさにココロを打たれたことがあります。 はつなつの かぜとなりぬと みほとけは をゆびのうれに ほのしらすらし (初夏の南風が到来したと、みほとけは、しなやかな小指の先でほのかに感じていらっしゃる ようだ。) 會津八一「南京新唱」より 棟方志功さんの版画に「はつなつの」の詩がつけられているのですが、 前に横浜で見た「棟方志功と民藝の名匠展」でも展示されていた 「二菩薩釈迦十大弟子」(昭和14年初版)の中の「文殊菩薩の柵」が同じ版画です。 この版画では、會津八一の詩はつけられていません。 左が今回の展示作品、右が横浜での展示作品で、ともに図録からです。 先日、関西に行くときも奈良の唐招提寺、新薬師寺、中宮寺に寄りたいなって思っていたのですが、残念ながら寄れずじまい。今度は寄ってみたいです。
by momokororos
| 2010-07-26 21:12
| 展示会
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